MJCが選ぶ2020年マリン10大ニュース
23/12/20 02:43
マリンジャーナリスト会議(MJC)では、「2020年マリン10大ニュース」を選考し、まとめました。選考に当たっては、2020年1月1日から12月6日までに国内で報道された主なマリン関連ニュースを事務局においてリスト化。そのリストを元に、当会会員による投票を実施、その結果を基に、さらに審議を行って決定いたしました。
なお、転載等はご自由にどうぞ。
2020年の主なマリン関連ニュースのリストはこちらから!
【1位】
「ジャパンインターナショナルボートショー2020」開催中止
3月5日から8日、パシフィコ横浜で開催予定だった「ジャパンインターナショナルボートショー2020」の開催中止が発表された。一般社団法人日本マリン事業協会は、新型コロナウィルスの感染が拡大する中で、来場者および出展関係者の健康や安全面を第一に考え、3月5日から4日間パシフィコ横浜および横浜ベイサイドマリーナで開催を予定していた「ジャパンインターナショナルボートショー2020」の中止を決定した。
【2位】
2023年の自律航行実現を目指す「X40 Concept」を発表
ロボットクリエーターの高橋智隆氏らが参画するスタートアップ企業Marine Xは、異なる業界から新たなテクノロジーを取り入れ、応用することで、水上モビリティの体験を「より安全に、快適に、楽しく」することを目指している。そんな同社では、独自開発の安全航行アシストシステム「ポラリス」を搭載したAIクルーザー「X40 Concept」を発表した。X40は、高橋氏がこれまで手掛けたロボットを彷彿させる曲線を多用したスタイルが印象的な、船外機2基掛け艇。一方、搭載されるポラリスは、画像認識AIを活用することで水上の航行可能エリアと障害物を検知し、その方角とおおよその距離を操船者に知らせるシステムで、将来的には自律航行システムへのアップグレードを目指している。
【3位】
2019-2020 日本-パラオ親善ヨットレース、参加全艇が完走
パラオ共和国の独立25周年を記念して開催された「日本-パラオ親善ヨットレース」は、参加7艇のヨットと、伴走艇となった練習帆船〈みらいへ〉が、2019年12月29日に神奈川県の横浜港からスタート。途中、低気圧の接近などもあったが、全艇が1,726マイルを走破。優勝は神奈川県からエントリーした〈テティス4〉(ベネトウ・ファースト40.7)で、所要時間は10日と16時間強となった。なお、このレースでは、両国の子どもたちがセーリングを通した交流を行ったほか、海洋マイクロプラスチックの調査も行われるなど、ヨットレースに付随するさまざまな取り組みが実施された。
【4位】
スズキ、船外機で海洋プラ回収 世界初、将来的には標準装備化も
スズキは1日、海洋汚染の原因となる微細なマイクロプラスチックについて、ボートの船外機に取り付け可能な回収装置を世界で初めて開発したと発表した。来年にも船外機のオプション用品として発売し、将来的には標準装備にすることも計画している。 船外機は、エンジンを冷却するため水面付近から大量の水をくみ上げる。この水を戻す際に、回収装置のフィルターでマイクロプラスチックなどの細かいごみを回収する仕組み。装置を取り付けてもボートの走行性能には影響しないという。既に国内外の海や湖で実証実験を進めており、製品化に向けて改良を重ねる。
【5位】
ヤンマーがトヨタ自動車と共同で舶用燃料電池システムの開発へ
ヤンマーホールディングス株式会社及び同グループのヤンマーパワーテクノロジー株式会社は、トヨタ自動車株式会社と覚書を締結し、トヨタ自動車製MIRAI用燃料電池ユニットと高圧水素タンクを使用した船舶用燃料電池システムの開発を開始した。国際海事機関において今世紀中の温室効果ガス(GHG)排出ゼロを目指す「GHG削減戦略」が採択されるなど、船舶業界では、世界的な環境規制強化が進んでいる中、化石燃料に捉われないパワートレインの開発を目指す。2020年度内を目標に、MIRAI用燃料電池ユニット等のマリナイズによる搭載性の向上及びより長い航続時間の実現を目的として自社製ボートによる実証試験を開始し、実用化と将来の多用な用途への適用に向けて開発を進めていく。
【6位】
ボート免許の取得者が増加中/4~9月で前年比113%
小型船舶操縦士免許の新規取得者が増えている。日本海洋レジャー安全・振興協会の集計によると、2020年4~9月の新規取得者数の累計が、昨年同時期の37,018人から41,803人と約113%にアップしている(1級、2級、湖川、特殊の合計/9月の数字は速報値)。現場の話でも、小社のスタッフが取材で訪れた免許教室を開講している某マリーナでは、年内はすべての講習が予約で埋まっているとのこと。学科講習をオンラインで受講できるヤマハボート免許教室の「スマ免」への申し込みも好調と聞く。 取得者の数が増えている理由は、コロナ禍の影響で、密になりにくい海でボート&ヨット遊びがしたいという人が増えた? 特別定額給付金のおかげ?……真相は今後の分析を待たなければならないが、何はともあれ、プレジャーボーティングに興味をもってくれる人が増えているのは朗報である。
【7位】
単独世界一周ヨットレースへ。白石さん、53歳の再挑戦
世界一周が終わるまでは誰の手も借りず、途中で港に寄ることも、燃料や食料を補給することもできない。ルールを破れば即失格。そんな4年に1度のヨットレース「バンデ・グロープ」が、11月8日にフランス西部で始まる。欧州で抜群の人気を誇り、最も過酷とも言われるレースにアジアからただ一人出場するのが、海洋冒険家の白石康次郎さん(53)。「とにかく精いっぱい走って、完走したい」と明確な目標を掲げて臨む。出場は2度目。2016年の前回は、中盤の南アフリカ・ケープタウン沖でマストが折れ、無念のリタイア。「涙も枯れ果てた」と打ちひしがれた。だが、心までは折れなかった。工作機械大手のDMG森精機(名古屋市)が18年に立ち上げたチームに参加し、再挑戦への準備を進めてきた。
【8位】
クルーズ船3500人を新型肺炎で検疫 横浜、乗客が感染
厚生労働省は3日、横浜・大黒ふ頭沖に同日夜に停泊したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の船内で、乗客乗員約3500人を対象とした大規模な検疫を実施した。香港の男性(80)が下船後の香港で新型コロナウイルスに感染したと確認されたことを踏まえた措置。船は横浜港に着岸せず、医師や看護師を含む検疫官が数十人態勢で乗船し、健康状態の確認を進めている。 厚労省によると、クルーズ船は1日に寄港した那覇でいったん検疫を終えた。その後に感染が確認されたため、那覇での検疫を取り消し、改めて横浜で実施する異例の対応を取った。政府関係者によると船内では7人が体調不良を訴えている。 検疫では健康チェックをした上で、発熱などの症状があればウイルス検査を行う。検査結果が判明し、全員の検疫が終了するのは4日午後以降の見込みで、それまで全員が船内で待機する。陽性の場合は感染症指定医療機関に入院となる。
【9位】
東京五輪延期でセーリングの吉田、吉岡組「全力で準備」
セーリングの女子470級で東京五輪代表に決まっている吉田愛、吉岡美帆組(ベネッセ)が五輪の延期を受け、所属先を通じて連名でコメントを発表した。「私たちの目指すところは変わらない。さらに練習に励む期間とポジティブに捉え、引き続き全力で準備を続けていく」と意気込みを示した。2018年世界選手権を制し、2019年は2位。金メダル候補として迎える1年後の大舞台について「世界がこの危機を乗り越え、東京五輪に世界中のアスリートがベストな状態で臨めることを心から願っている」と語った。
【10位】
トヨタマリンが自動着桟システム
「トヨタ・ドッキング・アシスト」を発表
トヨタマリンでは、同ブランド艇にオプション機構として搭載してきたTVAS(トヨタ・バーチャル・アンカー・システム)を発展させ、自動着桟を可能としたシステム、TDS(トヨタ・ドッキング・サポート)を発表した。TVASは主機とバウスラスターの推力を制御することにより、定点保持や横移動を実現するシステム。TDSは、TVASのシステムとGNSS(全球測位衛星システム)による位置情報を組み合わせることで、事前に登録した係留場所への自動着桟ができるほか、ジョイスティックよりも安定したタッチスクリーンによるサイドスラスト(横移動)モードの利用が可能となっている。
【講評】
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マリン関連のイベントや施策の実施に尽力された方々に敬意
今村信 ● マリンジャーナリスト会議・座長
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2020年を語る上で、全世界のあらゆるジャンルに共通する最大のトピックが新型コロナウイルスだろう。日本のマリンの世界でコロナ禍の影響の大きさを知らしめることとなったのが、十大ニュースのトップとなった「ジャパン インターナショナル ボートショー中止」の一報だった。
以降、数々のボートショーやヨットレースが中止となったが、生活様式すらも大きく変えてしまう困難の中にあっても、内容や手法を変えながら、さまざまな感染拡大防止策を講じつつ、マリン関連のイベントや施策の実施に尽力された関係者の方々に深く敬意を評したい。
さて、今回の十大ニュースでは、操船支援と環境対策の2ジャンルにおける、国内のボート、エンジンメーカーの新技術が複数選ばれたのも印象的だ。
操船支援の面では、2位、10位のほか、別紙(ノミネートニュース)の【24】「ニュージャパンマリンのぴたっとプロジェクト」、【69】「ジョイスティック操作のリムドライブ主機システムHARMO」も該当。6位にある通り、今年はコロナ禍にあってもボート免許取得者が増加したが、こうした技術が普及することで、ビギナー層が不安を抱きがちな「出着艇の操船の難しさ」が払拭され、ボーティングがより普及するきっかけとなれば、と思う。
世界的な課題である環境対策の面では、5位の成果発表を期待したいところ。
また、4位は、マリンエンジン全般に応用できそうなシンプルかつ効果的な方式という点が注目だ。3位では、レース参加艇と伴走船が、調査研究用のサンプル回収に協力するなど、マリンレジャーの世界でも、さまざまなかたちで海洋マイクロプラスチック関連の動きが活発化している。
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コロナに始まりコロナに終わった一年
菅仁良 ● マリンジャーナリスト会議・副座長
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今年の漢字は「密」でしたか。実際は「非密」を追い求めた一年だった。コ・ロ・ナの3字を重ねて「君」でもよかった(笑)
のっけからの閑話となったが、とにかくコロナに始まりコロナに終わった一年だった。とくに前半は「不要不急を控えよ」が合言葉になり、⑨五輪でさえ当の時点では不要不急の扱いで延期されたのだから、①ボートショーの中止もやむを得まい。③はパラオレースはコロナ前の開催。
日本でのコロナ狂騒の幕開けは⑧クルーズ船だった。ほぼ時期を前後して屋形船での新年会がクラスターの象徴とされ、船にはマイナスのイメージが付いてしまった。ただ、海の上を爽快に風を切って走れば密ではないし、給付金も出たことだしというわけか、⑤ボート免許の取得者が増加しているという意外な展開を見せた。
②④⑤⑩と技術革新の話題が入った。AI、海洋プラ、燃料電池、自動運転とマリンに限らず話題のテクノロジーである。
最後に⑦がんばれ、康次郎!
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なお、転載等はご自由にどうぞ。
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【1位】
「ジャパンインターナショナルボートショー2020」開催中止
3月5日から8日、パシフィコ横浜で開催予定だった「ジャパンインターナショナルボートショー2020」の開催中止が発表された。一般社団法人日本マリン事業協会は、新型コロナウィルスの感染が拡大する中で、来場者および出展関係者の健康や安全面を第一に考え、3月5日から4日間パシフィコ横浜および横浜ベイサイドマリーナで開催を予定していた「ジャパンインターナショナルボートショー2020」の中止を決定した。
【2位】
2023年の自律航行実現を目指す「X40 Concept」を発表
ロボットクリエーターの高橋智隆氏らが参画するスタートアップ企業Marine Xは、異なる業界から新たなテクノロジーを取り入れ、応用することで、水上モビリティの体験を「より安全に、快適に、楽しく」することを目指している。そんな同社では、独自開発の安全航行アシストシステム「ポラリス」を搭載したAIクルーザー「X40 Concept」を発表した。X40は、高橋氏がこれまで手掛けたロボットを彷彿させる曲線を多用したスタイルが印象的な、船外機2基掛け艇。一方、搭載されるポラリスは、画像認識AIを活用することで水上の航行可能エリアと障害物を検知し、その方角とおおよその距離を操船者に知らせるシステムで、将来的には自律航行システムへのアップグレードを目指している。
【3位】
2019-2020 日本-パラオ親善ヨットレース、参加全艇が完走
パラオ共和国の独立25周年を記念して開催された「日本-パラオ親善ヨットレース」は、参加7艇のヨットと、伴走艇となった練習帆船〈みらいへ〉が、2019年12月29日に神奈川県の横浜港からスタート。途中、低気圧の接近などもあったが、全艇が1,726マイルを走破。優勝は神奈川県からエントリーした〈テティス4〉(ベネトウ・ファースト40.7)で、所要時間は10日と16時間強となった。なお、このレースでは、両国の子どもたちがセーリングを通した交流を行ったほか、海洋マイクロプラスチックの調査も行われるなど、ヨットレースに付随するさまざまな取り組みが実施された。
【4位】
スズキ、船外機で海洋プラ回収 世界初、将来的には標準装備化も
スズキは1日、海洋汚染の原因となる微細なマイクロプラスチックについて、ボートの船外機に取り付け可能な回収装置を世界で初めて開発したと発表した。来年にも船外機のオプション用品として発売し、将来的には標準装備にすることも計画している。 船外機は、エンジンを冷却するため水面付近から大量の水をくみ上げる。この水を戻す際に、回収装置のフィルターでマイクロプラスチックなどの細かいごみを回収する仕組み。装置を取り付けてもボートの走行性能には影響しないという。既に国内外の海や湖で実証実験を進めており、製品化に向けて改良を重ねる。
【5位】
ヤンマーがトヨタ自動車と共同で舶用燃料電池システムの開発へ
ヤンマーホールディングス株式会社及び同グループのヤンマーパワーテクノロジー株式会社は、トヨタ自動車株式会社と覚書を締結し、トヨタ自動車製MIRAI用燃料電池ユニットと高圧水素タンクを使用した船舶用燃料電池システムの開発を開始した。国際海事機関において今世紀中の温室効果ガス(GHG)排出ゼロを目指す「GHG削減戦略」が採択されるなど、船舶業界では、世界的な環境規制強化が進んでいる中、化石燃料に捉われないパワートレインの開発を目指す。2020年度内を目標に、MIRAI用燃料電池ユニット等のマリナイズによる搭載性の向上及びより長い航続時間の実現を目的として自社製ボートによる実証試験を開始し、実用化と将来の多用な用途への適用に向けて開発を進めていく。
【6位】
ボート免許の取得者が増加中/4~9月で前年比113%
小型船舶操縦士免許の新規取得者が増えている。日本海洋レジャー安全・振興協会の集計によると、2020年4~9月の新規取得者数の累計が、昨年同時期の37,018人から41,803人と約113%にアップしている(1級、2級、湖川、特殊の合計/9月の数字は速報値)。現場の話でも、小社のスタッフが取材で訪れた免許教室を開講している某マリーナでは、年内はすべての講習が予約で埋まっているとのこと。学科講習をオンラインで受講できるヤマハボート免許教室の「スマ免」への申し込みも好調と聞く。 取得者の数が増えている理由は、コロナ禍の影響で、密になりにくい海でボート&ヨット遊びがしたいという人が増えた? 特別定額給付金のおかげ?……真相は今後の分析を待たなければならないが、何はともあれ、プレジャーボーティングに興味をもってくれる人が増えているのは朗報である。
【7位】
単独世界一周ヨットレースへ。白石さん、53歳の再挑戦
世界一周が終わるまでは誰の手も借りず、途中で港に寄ることも、燃料や食料を補給することもできない。ルールを破れば即失格。そんな4年に1度のヨットレース「バンデ・グロープ」が、11月8日にフランス西部で始まる。欧州で抜群の人気を誇り、最も過酷とも言われるレースにアジアからただ一人出場するのが、海洋冒険家の白石康次郎さん(53)。「とにかく精いっぱい走って、完走したい」と明確な目標を掲げて臨む。出場は2度目。2016年の前回は、中盤の南アフリカ・ケープタウン沖でマストが折れ、無念のリタイア。「涙も枯れ果てた」と打ちひしがれた。だが、心までは折れなかった。工作機械大手のDMG森精機(名古屋市)が18年に立ち上げたチームに参加し、再挑戦への準備を進めてきた。
【8位】
クルーズ船3500人を新型肺炎で検疫 横浜、乗客が感染
厚生労働省は3日、横浜・大黒ふ頭沖に同日夜に停泊したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の船内で、乗客乗員約3500人を対象とした大規模な検疫を実施した。香港の男性(80)が下船後の香港で新型コロナウイルスに感染したと確認されたことを踏まえた措置。船は横浜港に着岸せず、医師や看護師を含む検疫官が数十人態勢で乗船し、健康状態の確認を進めている。 厚労省によると、クルーズ船は1日に寄港した那覇でいったん検疫を終えた。その後に感染が確認されたため、那覇での検疫を取り消し、改めて横浜で実施する異例の対応を取った。政府関係者によると船内では7人が体調不良を訴えている。 検疫では健康チェックをした上で、発熱などの症状があればウイルス検査を行う。検査結果が判明し、全員の検疫が終了するのは4日午後以降の見込みで、それまで全員が船内で待機する。陽性の場合は感染症指定医療機関に入院となる。
【9位】
東京五輪延期でセーリングの吉田、吉岡組「全力で準備」
セーリングの女子470級で東京五輪代表に決まっている吉田愛、吉岡美帆組(ベネッセ)が五輪の延期を受け、所属先を通じて連名でコメントを発表した。「私たちの目指すところは変わらない。さらに練習に励む期間とポジティブに捉え、引き続き全力で準備を続けていく」と意気込みを示した。2018年世界選手権を制し、2019年は2位。金メダル候補として迎える1年後の大舞台について「世界がこの危機を乗り越え、東京五輪に世界中のアスリートがベストな状態で臨めることを心から願っている」と語った。
【10位】
トヨタマリンが自動着桟システム
「トヨタ・ドッキング・アシスト」を発表
トヨタマリンでは、同ブランド艇にオプション機構として搭載してきたTVAS(トヨタ・バーチャル・アンカー・システム)を発展させ、自動着桟を可能としたシステム、TDS(トヨタ・ドッキング・サポート)を発表した。TVASは主機とバウスラスターの推力を制御することにより、定点保持や横移動を実現するシステム。TDSは、TVASのシステムとGNSS(全球測位衛星システム)による位置情報を組み合わせることで、事前に登録した係留場所への自動着桟ができるほか、ジョイスティックよりも安定したタッチスクリーンによるサイドスラスト(横移動)モードの利用が可能となっている。
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マリン関連のイベントや施策の実施に尽力された方々に敬意
今村信 ● マリンジャーナリスト会議・座長
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2020年を語る上で、全世界のあらゆるジャンルに共通する最大のトピックが新型コロナウイルスだろう。日本のマリンの世界でコロナ禍の影響の大きさを知らしめることとなったのが、十大ニュースのトップとなった「ジャパン インターナショナル ボートショー中止」の一報だった。
以降、数々のボートショーやヨットレースが中止となったが、生活様式すらも大きく変えてしまう困難の中にあっても、内容や手法を変えながら、さまざまな感染拡大防止策を講じつつ、マリン関連のイベントや施策の実施に尽力された関係者の方々に深く敬意を評したい。
さて、今回の十大ニュースでは、操船支援と環境対策の2ジャンルにおける、国内のボート、エンジンメーカーの新技術が複数選ばれたのも印象的だ。
操船支援の面では、2位、10位のほか、別紙(ノミネートニュース)の【24】「ニュージャパンマリンのぴたっとプロジェクト」、【69】「ジョイスティック操作のリムドライブ主機システムHARMO」も該当。6位にある通り、今年はコロナ禍にあってもボート免許取得者が増加したが、こうした技術が普及することで、ビギナー層が不安を抱きがちな「出着艇の操船の難しさ」が払拭され、ボーティングがより普及するきっかけとなれば、と思う。
世界的な課題である環境対策の面では、5位の成果発表を期待したいところ。
また、4位は、マリンエンジン全般に応用できそうなシンプルかつ効果的な方式という点が注目だ。3位では、レース参加艇と伴走船が、調査研究用のサンプル回収に協力するなど、マリンレジャーの世界でも、さまざまなかたちで海洋マイクロプラスチック関連の動きが活発化している。
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コロナに始まりコロナに終わった一年
菅仁良 ● マリンジャーナリスト会議・副座長
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のっけからの閑話となったが、とにかくコロナに始まりコロナに終わった一年だった。とくに前半は「不要不急を控えよ」が合言葉になり、⑨五輪でさえ当の時点では不要不急の扱いで延期されたのだから、①ボートショーの中止もやむを得まい。③はパラオレースはコロナ前の開催。
日本でのコロナ狂騒の幕開けは⑧クルーズ船だった。ほぼ時期を前後して屋形船での新年会がクラスターの象徴とされ、船にはマイナスのイメージが付いてしまった。ただ、海の上を爽快に風を切って走れば密ではないし、給付金も出たことだしというわけか、⑤ボート免許の取得者が増加しているという意外な展開を見せた。
②④⑤⑩と技術革新の話題が入った。AI、海洋プラ、燃料電池、自動運転とマリンに限らず話題のテクノロジーである。
最後に⑦がんばれ、康次郎!
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