MJCが選んだ2018年マリン10大ニュース

MJCが選んだ「2018年マリン10大ニュース」

マリンジャーナリスト会議(MJC)では、今年も「2018年マリン10大ニュース」を選考し、まとめました。選考に当たっては、2018年1月1日から12月6日までに国内で報道された主なマリン関連ニュースをリスト化。そのリストを元に、当会会員、日本海洋レジャー安全・振興協会、UMI協議会、海の駅ネットワーク等のマリン関連団体、720キャンペーン(当会が呼びかける試乗イベント)の協力艇を対象としたアンケートを実施し、その回答を参考に当会の10大ニュース・ワーキンググループが選出しています。

●選考の対象となったニュースのリストはこちらからご覧になれます(PDF)。


【1位】
西日本豪雨で水上オートバイが120名を救助

7月の西日本豪雨で甚大な浸水被害を受けた岡山県倉敷市真備町で、多くの住民が取り残される中、同町出身の若者が水上オートバイで約15時間にわたり、約120人を救助した。水上オートバイユーザーの森圭祐さん(25)は地元の友人から母親を救助する要請を受けて現場に水上オートバイで急行。森さんは友人と協力し昼過ぎから朝4時までに計120人ほどを避難先に運び、町の住民たちから命の恩人として感謝されている。

〈アンケート回答者の主なコメント〉

●行動力と精神力に感動した。日々の生活の中で他人に手を差し伸ばさない人が多いと感じていたので心に響く 「水上オートバイによるレスキュー講習等を実施している手前、大いに参考にすべきニュース。現場でも調査を行ったが、水上オートバイの持つ機動性や水面下の障害物等、インテークからの浮遊物吸い上げ等のリスク等を考慮し、適切な救助方法を選択しなければならないと改めて痛感した。水上オートバイが救助の手段として成立する好例だと考える。
●日頃のニュースで「水上オートバイと書かれると、次は「暴走、騒音、無謀な事故という残念な言葉が続くことが多い。今回は、水上オートバイ使われたことがうれしかった。何かとイメージの悪い部分を取りざたされることの多いので、今回のニュースはマリン業界のイメージアップになった。
●水上オートバイがレジャーだけでなく、このような使われ方がされ、プロペラが無い事で安全に救助活動ができたのではないかと推測される。燃料補給には苦労されたと聞いた。
●普段悪者扱いされている水上オートバイのユーザーがヒーローとして取り上げられた。被害も甚大で、深刻だが、その中でもほっとするニュースとなった。
●水上オートバイの災害時の有用性を証明した。公官庁による配備の拡大・活用により、水上オートバイの社会性向上に期待。
●東日本大震災でも同様の救助が行われたが、水上オートバイでの災害時の有用性を証明した。とかく白い目で見られがちな水上オートバイの地位向上に期待。


【2位】
小型船舶で救命胴衣着用を義務化

国土交通省は関係法令を改正し、平成30年2月からすべての小型船舶の乗船者にライフジャケットの着用を義務化。従来は12歳未満の子供や投網など1人で漁をする人などに限っていた。小型船舶からの転落死亡事故が相次いでおり、ライフジャケットの義務化が事故時の生存率を高めるとされている。

〈アンケート回答者の主なコメント〉

●適切な救命胴衣の適切な着用により、非着用時よりも生存率が約2倍になるというデータもある。3年後には違反点数も付与されるので、今の時点から徹底した周知が必要。
●義務化ではなく推奨のままでも良かった。自己責任が当たり前だったが、マリン人口の拡大を図るためにも必要な措置ということか。
●趣味の世界、自己責任のことに国が首を突っ込む、そんな国は珍しい。
●基本は船長責任。必要なときは判断するべきで義務化は日本的な判断。
●安全確保を法的に義務化することが、今後の事故防止、事故統計にどのような変化を及ぼすのか、注視していきたい。
●確実に生存率が上がるであろう事は明白なのだが、取り締まり方法も含めてシステムがうまく運用できるかが気掛かり。
●船長に任せとけ派。もう少し現実的に考えて欲しい。ライフジャケットだけが安全対策ではない。また規制に対応するライフジャケットが桜印だけというのもうなずけない。せめて“浮力を要する安全器具を装着させるなど安全対策を講じる”など、そんなところでよかった。これでは一部の安全器具メーカーだけを利することになるのでは。
●法律が改正になったことは、重大な変化。これによって、失われる命がなくなることが重要だと思う。
●乗船者の安全に関わる事で遅すぎたぐらい。
●小型ボートでは定着しつつある救命胴衣の着用だが、大型ボートでの着用比率はまだ低い。義務化により着用率の向上〜海難事故での死亡者の減少が期待される。
●義務化によってこれまで各マリンレジャーで問題となっていたライフジャケット着用の普及により海難死亡事故の減少に大きな期待が持てる。
●安全装備については、自動車におけるシートベルトを例に見るように法整備化した方がよいと考えていた。今後はよりスマートなスタイルのライジャケが商品されてゆくのではと期待。
●義務化はいいが、桜マーク限定というのが議論になった。
●着用義務の強化には現場の抵抗も強かったと思うが、海の事故を減らすためには有効な方法であり、安全への貢献度は高い。


【3位】
海のプラスチックごみ問題が深刻化
OECDとUNEPが報告書


2018年8月、海のプラスチック問題の深刻化を裏付けるデータを盛り込んだ報告書を、経済協力開発機構(OECD)、国連環境計画(UNEP)がまとめた。報告書によれば、世界でプラスチックごみの生産量は増加を続け、年間3億トンを超え、海に流出する量も最大推定量が年間1,200万トンに及ぶ。さらにプラスチックごみを飲み込んだ魚介類を通じて人間の健康を脅かすリスクがあると警告。また、アジア太平洋地域の海では、サンゴ礁に引っ掛かったプラスチックごみの問題も指摘されている。

〈アンケート回答者の主なコメント〉

●今年、海のニュースで最も注目されたのは、この問題。誰もが気づいていながら、「便利・安価」を理由に野放しにしていた問題にしっかりと向き合う必要がある。
●海で遊んでいると、ペットボトルや漁業関係の道具などが浜辺に打ちあがっている!シーグラスは減っているがプラスチックゴミは増えている。プラスチック製品の排除は賛成できないが何とかしないと。
●自分達の身近で使っているものが、自然に大変な被害を与えている。自分の生活を反省した次第。あのニュース以来、買物のビニールなどなるべく使わず、マイバッグを使うよう気をつけている。
●海で遊び、海産物を食する人類にとって、地球規模での困った問題が確認された。
●サンゴ以外にも魚や鳥類、ひいては人体にも影響する問題。マイクロプラスチック以外に、フリースの洗濯などで流れ出るマイクロファイバーも課題で、アパレル業界では対応策が進んでいる。海で遊ばせてもらっている我々も実情を知り、何ができるかを考え、実行すべきだと思う。
●海岸には沢山のプラスチックごみが打ち上げられている。プラスチック製品は便利だが、現代の生活パターンを少しでも昔に戻してプラスチックゴミを減らしたいものである。
●このテーマは全世界に急拡大し、話題になった印象がある。スターバックス等の世界的企業もストローを廃止するなど、プラスチック削減に乗り出している。国内でもレジ袋有料化の動きがあるなど、今後の生活に直結してくる問題になっている。
●プラゴミ、特にコンビニのペットボトルや弁当ケース等、販売側の企業責任を検討するべきか。
●温暖化と一緒で考えないといけない世界規模の問題なのだと考えた。
●海水温の上昇や海水の酸性化など、サンゴにとっては厳しい環境となっているところに、新たな脅威が発見された。海の環境を改善する科学技術の開発が待たれる。



【4位】
セーリング世界選手権
女子470級で吉田・吉岡組が日本勢初V


8月9日、デンマークのオーフスでセーリングの世界選手権が行われた。女子470級でリオデジャネイロ五輪5位の吉田愛/吉岡美帆組(ベネッセ)が上位10艇による最終レースを終え、優勝を果たした。この種目の日本勢の優勝は五輪、世界選手権を通じて初めてとのこと。

〈アンケート回答者の主なコメント〉

●東京五輪を前に、セーリング競技の認知拡大とメダル有力種目としての話題性喚起に寄与。メディアの注目度も大きく高まっている。
●ただただ天晴れ!お見事!!超快挙のこの勢いを東京五輪まで。
●優勝おめでとうございます。日本のヨット愛好家として世界に通用するレベルの人がいる事を誇りに思います。
●メダルを獲得して、マスメディアを通じてセーリングを広く国民に知ってもらいたい。愛好者の底辺の拡大に期待。
●お見事。日本人女子ではこの2人が突出。若手にも頑張って欲しい。実は男子も頑張っている。海外の多くの有力セーラーが470級に出場しなくなったという背景もあるが、それにしても日本男子の470級は世界レベルの高次元な代表争いが繰り広げられていて、誰が代表になってもオリンピックでもメダルが期待できる。
●プリンセスソフィア杯はもとより世界選手権で優勝は快挙。重さん亡きあと、ぜひ東京で日の丸を揚げてほしい。


【5位】
白石康次郎、世界一周ヨットレース
「ヴァンデ・グローブ」に再挑戦を表明


海洋冒険家の白石康次郎さんと工作機械大手のDMG森精機が10月30日に東京都内で記者会見し、外洋セーリングチームを発足させて2020年に開催される単独無寄港無補給での世界一周ヨットレース「ヴァンデ・グローブ」に挑戦すると発表した。白石さんは16年の前回「ヴァンデ・グローブ」にアジア勢として初めて出場したが、約1カ月で棄権している。DMG森精機によると、ワークスチームによる日本からの参戦は初めて。(日本人参戦は前回大会の白石氏本人に次いで2回目)。

〈アンケート回答者の主なコメント〉

●スポンサーが決まり新たな挑戦の体制ができたことがよかったと思います。有限実行の白石さんのこれからの活躍に益々期待が高まります。専門誌だけでなく一般メディアが多く取り上げており、ヨットの認知度が上がったと思う。
●白石氏の長年の夢。前回は参加できたがマスト破損でリタイア。その夢をつなぐスポンサー(森精機)の登場で新艇も用意して再挑戦できることはヨット界にとって極めて大きなニュース。
●森精機さんと、白石さんのコンビは、願ってもない遭遇であり、これしかないといった気持ちになった。
●台風で〈スピリット・オブ・ユーコー〉のディスマストがあった後に発表された再挑戦。出会いや縁など、いろんな意味で“タイミング”と“夢にかける強い思い”の大切さを感じた。
●白石氏の不屈の精神はもちろんのこと、こうした挑戦を日本の企業がサポートするという点も称賛に値すると思う。
●この世相でスポンサーしてくれること自体が奇跡的な上に、マイナーな分野のヨットレースをスポンサードしてくれた企業の大英断に拍手喝采!

【6位】
マリンアクティビティを無料で体験できる
「海マジ!」サービス開始


リクルートライフスタイルが若年層を対象とした屋外アクティビティ施設の一部料金無料化サービス「マジ☆部」を展開している。20歳までに経験したスポーツやレジャーは、その後長年にわたって愛好する傾向があるとの統計データに基づき、若者にさまざまな楽しみを知ってもらい、各ジャンルの愛好者を増やすための試み。その一環として、19、20歳のマリンアクティビティ無料体験を提供する「海マジ!」をスタート。クルージング、セーリング、SUP、釣りなどのメニューが用意されている。

〈アンケート回答者の主なコメント〉

●高齢化が進むマリンレジャー市場。若年層を取り込むきっかけとなるか。
●国民に海離れが進んだ今、海洋スポーツやレクリエーションを若い人たちに改めて広めていく非常に良い活動であり、企業がこれだけ協働して、また協賛して実施してくれていることに感謝する。
●19歳、20歳のマリンレジャー入門生を多く呼び込むことができれば、マリンレジャーの一層の普及が期待できる。
●若年層ボート離れが深刻さを増す中で、マジ部企画にボートカテゴリーが参加するのはとても有意義で、同様の取り組みが拡大するのを期待する。


【7位】
ヤマハ発動機、トヨタ自動車の高級ボートが話題に

ヤマハ発動機は、サロンクルーザー「EXULT 43」を2018年6月1日より発売した。「EXULT(イクザルト)」は機能や性能はもちろん、美しさ・開放感・質感などすべての要素において最高級を追求し、日本人らしい細やかさと美意識を細部にまで注ぎ込んだプレミアムボートのシリーズ。「EXULT 43」は船体のトップとサイド上部に接合部のない「インテグレーテッドハル」を熟成。滑らかで美しい曲面を持つ独特のフォルムは、マリーナや洋上において圧倒的な存在感を放ち”洋上の迎賓館“と称されるフラッグシップ。また、トヨタ自動車では、同社が展開する高級車ブランドのレクサスとして初となるラグジュアリーモーターヨット「レクサスLY650」を発表した。2017年に同ブランドが発表して話題を呼んだ、「レクサススポーツヨットコンセプト」の流れをくむ流麗なデザインが美しい。建造はアメリカのマーキーズヨット。

〈アンケート回答者の主なコメント〉

●珍しく一般メディアでの露出が目立ったマリン製品。ヤマハのEXULT43、トヨタのレクサスボートともに、話題となっていた。実際の販売隻数はともかく、これらのラグジュアリーボートが話題になることによってマリンレジャーが注目されることをポジティヴに捉えたい。
●高級商材の販売が好調な市場において待望のヤマハから国産プレミアムボートが発売された。

【8位】
日本初のプライベートサブマリン
小型潜水艇「JAPANG」販売開始


大洋産業貿易が製造し、AOIホールディングスが販売する、初の国産小型潜水艇「JAPANG(ジャパング)」が7月に販売開始。構想から製品化まで17年の年月をかけた同艇は、「体をぬらさずに海中ドライブを楽しむ、アンダーウォータースポーツカー」というコンセプトのもと、設計・構成から製造に至るまで、すべて日本人の手によるもの、また、職人による装飾を施す。小型潜水艇としては珍しいウォータージェット推進の採用し、水中、水面での高い運動性能を発揮する。

〈アンケート回答者の主なコメント〉

●実物を見たが、夢のような乗り物が実際に完成し、個人で買えるようになったことに驚いた。
●ぜひとも見たい、夢の乗り物。構想17年も温めていた情熱にも惹かれた。ボートショーでのお披露目もあるといいのだが。


【9位】
ISAワールドサーフィンゲームスにて
五十嵐カノアが日本人初の銀!団体で金メダルを獲得


9月、伊良湖・ロングビーチで開催されていた「ISAワールドサーフィンゲームス」の全スケジュールが終了。男子決勝で優勝候補の五十嵐カノア(20)が13.67点で準優勝。WGでは男女を通じて日本勢として初めて表彰台に立った。また最終日の結果を受け、国別順位は日本が1位。ISA史上はじめての団体金メダルに輝いた。

〈アンケート回答者の主なコメント〉

●東京オリンピックサーフィン代表候補の五十嵐カノアが世界最大規模のサーフィンで優勝。東京オリンピックの個人でのメダル獲得の可能性を感じさせた。
●団体で金メダルを取れたのは、サーフィンの日本選手の層の厚さからであり、東京オリンピックに向けて日本選手に大きな期待を持てる。
●ワールドで表彰台に上った初の日本人。歴史に残る快挙。


【10位】
セーリングのプロリーグ
「SailGP」の2019年開幕を発表


第35回アメリカズカップ(2017年大会)採用艇「AC50」をリファインした「F50」を使用するワールドサーキット、「SailGP」の開催が発表された。出場国はオーストラリア、イギリス、フランス、アメリカ、中国、日本の6チーム。シドニー大会を皮切りに、世界を転戦する。日本チーム参戦が発表されたことで、日本開催の夢も現実に向けて動き出している。

〈アンケート回答者の主なコメント〉
●前回大会の、AC用の艇体、そしてレースの運営方法がかなり練度を高めていたので、そのまま消えてしまうのではもったいない。もちろん、日本チーム参戦も面白い。
●車のF1やオートバイのMOTO GPのように、世界を転戦するトップカテゴリーのヨットレースはマリン業界としても必要なアイテム。
●中々メジャーになれないヨットレースだが、そのスリリングな迫力が新しい刺激として一般の人々にも受け入れられることに期待。
●採用するフォイリングカタマランのスピード性能により、スリリングなヨットレースを観戦できるようになった。しかも世界転戦、日本も参加するということで、まさしく海のF1として世界的に盛り上がってもらいたい。


MJCより-(1)
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スポーツ界での活躍、活動が目立った2018年
今村信 マリンジャーナリスト会議・座長
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 12月12日に発表された、日本漢字能力検定協会による2018年を表す漢字は「災」。この結果に対する賛否は別としても、今年は数々の台風被害を中心とした、海や水にかかわる災害が多かった印象がある。
 そんな中、当十大ニュースの1位に選ばれたのが、水上オートバイによる災害時の救助活動というのは、マリンの世界に身を置く者として素直にうれしい。
 水上オートバイを含むプレジャーボートは、本来、水辺の楽しさを味わうための乗り物だが、その活用の仕方によっては役に立つ乗り物にもなる一方、危険、迷惑といった負のイメージを持たれることもある。
 物事に裏表があるのはプレジャーボートに限らないことで、ようは扱い方の問題であるだけに、こうしたプラスの面に光が当たることで、その価値が広く伝わることを願わずにはいられない。
 また、今回のトップ10では、女子470級の吉田愛/吉岡美帆組の世界レベルでの活躍、白石康次郎氏の「ヴァンデ・グローブ」再挑戦、ISAワールドサーフィンゲームスでの五十嵐カノア選手の銀メダルと団体金メダル獲得、国際的なセーリングサーキットSailGPへの日本チーム参加表明と、スポーツ界での活躍、活動が多数入ったのも、うれしい特徴といえるだろう。
 トップ10外では、第3期海洋基本計画で、マリンレジャーの普及や海事教育の義務化が閣議決定されたことが、非常に大きなニュースだ。こうした追い風を捉えながら、マリンの活性化につなげていきたいと思う。
 一方で、トップ10内外に、プラスチックごみの削減という課題に関連したニュースが複数入ったことも、決して見逃してはならないだろう。
 それから、今回のアンケート回答期間中に、アトランタオリンピック・セーリング競技・女子470級銀メダリストの重由美子さんが逝去された。重由美子/木下アリーシア組が獲得した銀メダルは、日本がオリンピックのセーリング競技に出場し始めてから60年目にして初めて手にしたもので、その功績は非常に大きく、後に続く現在活躍中のセーラーたちにも大きな影響を与えている。謹んで重さんのご冥福をお祈りする。



MJCより-(2)
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若者にシーマンシップの義務化?
菅仁良 マリンジャーナリスト会議・副座長
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 このマリン10大ニュースの集計を企画したわれわれMJCは、設立理念として「マリンスポーツ・レジャー全体の健全な発展に寄与し、愛好者の拡大に資すること」を規約に掲げて発足して早や20年以上になる。この理念とはつまり、シーマンシップの普及と言い換えてもいいのではないだろうか。
 シーマンシップ、─ここでは「海人たること」と意訳しておく─とは何であるかはさまざまな解釈があるだろうが、海で無事過ごすための「技術」と「意識・作法」ということでいかがだろうか。
 このシーマンシップという観点から10大ニュースを眺めると、まず(1)水上オートバイでの救助活動があてはまるだろう。遭難者になんとしても報いようとする心意気はシーマンシップのうちの「意識・作法」の枢要であろうが、あらためて敬意を表したい。
 (2)ライフジャケットの義務化もそうだ。ライフジャケットの着用とは泳力・浮力の補助であるととらえ、あえて「意識・作法」ではなく「技術」に含めたい。そうすると、お上による一律の義務化に対して違和感を覚える向きもあろう。そんな違和感も含めて上位に登場したに違いない。
 (3)プラスチックごみもまたシーマンシップの問題ではないか。海を楽しむ人はだれも、その海に無分別にごみを捨てるということはしないだろう。だが、この問題は海だけの話ではないところがやっかいだ。今やシーマンシップは陸(おか)でも発揮されねばならないのかもしれない。
 とまあ、こんなヘリクツを並べ立ててみたが、(6)海マジで初めて海を体験する若い人たちには、ぜひ、シーマンシップを身に着けてほしい。いや、シーマンシップの義務化だ(笑)。