MJCマリン賞2020決定

このほど「MJCマリン賞2020」の最終審査会を行い、下記の通り決定いたしました。表彰式は、2020年3月6日(金)16時20分より「ジャパンインターナショナルボートショー2020」パシフィコ横浜会場(神奈川県横浜市)にて行います。 


●MJCマリン賞2020大賞

岩本光弘さん/ダグラス・スミスさん
〈世界初となるブラインドセーラーによる太平洋横断に成功〉

2019年4月、全盲のセーラー岩本光弘さんは、世界ではじめて
ブラインドセーラーによる太平洋横断に成功した。2月24日に米国・サンディエゴを出港し、健常者であるダグラス・スミスさんとペアで全長約12メートルのセーリングクルーザー「ドリームウィーバー号」に乗り、無寄港で約1万4000キロを完走した。岩本さんは2013年、キャスターの辛坊治郎さんと日本から米国に向けてヨットでの太平洋横断に挑戦したが、クジラとの衝突が原因と思われる遭難事故で失敗。当時は無謀な冒険だとして一部で批判的な声も出たが、岩本さんはこの事故によるトラウマを乗り越えるためにトライアスロンを始め、不屈の精神を育んできた。ダグラス・スミスさんは日本在住の米国人。ドリームウィーバー号のオーナーで、岩本さんのチャレンジングスピリットに共感し、自艇を提供するとともに、健常者として岩本さんの目となり、その役割を果たしながら、航海を走りきった。岩本さんの「絶対に夢を諦めない」という信念、それに応えたダグラスさんのハートが選考理由となった。岩本さんは二度目の受賞。大賞は初。

●MJCマリン賞

矢川和幸さん
〈海洋少年団の指導者として半世紀に渡って活躍〉


北海道・根室海洋少年団の団長、矢川和幸さんは1969年から同少年団で指導を行ってきた。水泳や手旗信号など、海で役立つ技術を教えた子どもたちは約600人。半世紀にわたる指導は全国でも珍しく、「子どもたちの成長を見届けることが楽しくて仕方ない。好きだから50年も続けてこられた。死ぬまで指導を続けられるよう、これからも頑張りたい」と抱負を語る。日本海洋少年団連盟は、幼稚園児から高校生までの男女の団員が海を訓練の場として、子どもの時から海に親しみ、団体生活を通して社会生活に必要な道徳心を養い、心身ともに健康でたくましい人間の育成をめざす公益社団法人。約4,000名の団員が全国の各地で日々の活動を行っており、創造性を育む「海っ子の祭典」(2年に一度開催される全国大会)では、団員間の友情を育み地域住民との交流を図っている。また、カナダ、香港、韓国、英国など海外の海洋少年団との国際交流も活発化している。根室海洋少年団は全国に約90ある単団体のひとつ。昨年は「根室うみっこ祭り」を初開催し、カヌー体験やロープワーク体験など、根室の人々にマリン体験の場を提供した。根室市の人口は約25000人。マリンレジャーという視点で見たとき、決して環境が整っているとはいえない道東の根室において、長年にわたって指導者として海洋教育に携わってきたことが選考理由となった。

NPO法人 日本障害者セーリング協会
〈障害者にセーリングの機会を提供し30年〉


1990年に、「より多くの人に海の楽しみを伝えたい」という熱い想いを持ったボランティアが「ヨットエイドジャパン」を設立。発足以来、障害者への各種セーリング活動支援、制度法制改革のアドボカシー活動、設備環境の改善への研究開発など、地域加盟団体、ボランティア、そして障害を持つセーラーと共に学び、感じながら、障害者と海をつなぐ社会活動に取り組んでいる。2010年にはNPO法人化、日本障害者セーリング協会として組織変更を行い、今年で10年目、ヨットエイドの発足からは30周年を迎えている。同協会は、「セーリングは自然を相手に楽しむスポーツです。自然界は障害があってもなくても平等。社会も自然と同様、いかなる環境においても障害者の社会参加を妨げてはならない。海で遊んだ分を少しだけ社会に貢献する」と設立趣旨の中で説明している。また2028年のパラリンピックに向けてセーリング競技の復活を目指し、次世代選手の育成やパラリンピアン、パラリンピック参加関係者の講演を開催するなどの活動も行っている。


NPO法人 森と海の学校
〈子どもたちのチャレンジ精神を育む航海を実践〉


NP0法人「森と海の学校」は、『冒険心あふれる心豊かな青年指導者の育成』を目的として、昭和59年の設立以来、ヨットを活用したチャレンジクルーズや、カーフェリーを活用したジュニア洋上スクール、4泊5日の子ども自然体験キャンプ、子ども匠の学校などの青少年活動に取り組んできた。離島振興・自然環境体験教育事業『第16回チャレンジクルーズto長崎・田島』は、定員12名のヨット(34ft)に子どもたちが乗船して、山口県宇部港から長崎県大村湾にある無人島・田島を往復する700km、9日間の航海体験を実施。参加者は小学3年生から中学生で、不登校や発達障害などの課題を抱えている子どもたちも参加。ヨットの離着岸、航海中の操船、食事の買い出し、準備片付けなども参加した子どもたちで行い、高校生の参加者はスタッフとして子どもたちの生活全般に渡る指導を行った。子どもたちは力を合わせて荒海(困難)に立ち向かい、チャレンジ精神と達成感・自己肯定感を育み、また海上生活を通して自然環境の大切さを学び、狭い船内で共に生活をする中で耐える心と連帯協調の精神の大切さを学んだ。冒険心と海洋思想の普及を図ることを目的に、昭和60年から行っている長期航海研修では、これまで、宇部港をスタートし、韓国・釜山港、壱岐・対馬、ハウステンボス、萩沖の見島などとの間を往復する長期航海などを行ってきた。

■MJCマリン賞について

●主催/ マリンジャーナリスト会議(MJC)
●後援/国土交通省、海上保安庁、(一社)日本マリン事業協会

 マリンジャーナリスト会議(MJC)では、マリンレジャーの安全と健全な普及を目指し、この分野で貢献している個人および団体の活動をたたえるとともに、今後の活動を応援することを目的に、2001年より「MJCマリン賞」を創設し、以来、毎年表彰しています。対象は競技スポーツにとどまらず、海に関するユニークな活動、学術的研究、安全普及、環境保護、ボランティアなど、広範な「海洋文化の普及」活動に携わってきた人々すべてです。
「MJCマリン賞2020」については、2019年4月より2020年1月31日までの期間に当会サイト及び、当会加盟のマリン専門誌において募集。一般より応募、または推薦のあった個人、団体に加え、当会会員の推薦により候補者を選定し、一次審査を経て最終ノミネートを決定。その後の二次審査において、会員の投票、および協議により「MJCマリン大賞」および3組のMJCマリン賞を決定しました。

■ 主 催/マリンジャーナリスト会議(MJC)
■ 後 援/国土交通省、海上保安庁、(一社)日本マリン事業協会
■ 賞および表彰/各受賞者に対し表彰状および副賞を進呈
●MJCマリン大賞
ジャンルを問わず、マリンスポーツ・レジャーの振興、発展、安全普及に貢献し、マリン賞にもっともふさわしい個人および団体を対象とした賞です。
●MJCマリン賞
下記の部門で活動された個人や団体からジャンルを問わず最高で3名を選出します。
〈スポーツ・アドベンチャー部門〉マリンレジャー、マリンスポーツにおいて著しい、あるいはユニークな成績や記録に関する分野 〈文化・普及部門〉マリンレジャーの健全な普及と振興、生活、文化、芸術などに関する幅広い分野 〈安全・環境部門〉海、川、湖にかかわる環境、安全思想の啓発等に関する分野
■ 対象/海、川、湖をフィールドに活動するすべての人々。自薦・他薦は問いません。
■ 応募期間/2019年4月1日から2020年1月31日まで
■ 選考・発表・表彰
「MJCマリン賞選考委員会」が選考し、2020年3月6日、ジャパンインターナショナルボートショー2020のイベントステージで発表・表彰します。MJCに協力するマリン専門誌上(4月発売予定)で表彰式の様子を掲載いたします。