MJCが選んだ2019年マリン10大ニュース
17/12/19 18:06
マリンジャーナリスト会議(MJC)では、「2019年マリン10大ニュース」を選考し、まとめました。選考に当たっては、2019年1月1日から12月6日までに国内で報道された主なマリン関連ニュースを事務局においてリスト化。そのリストを元に、当会会員による投票を実施、その結果を基に、さらに審議を行って決定いたしました。
なお、転載等は自由ですが、マリンジャーナリスト会議が選出した旨、記載をお願いいたします。
●選考の対象となったニュースのリストはこちらからご覧になれます(PDF)。
【1位】
吉田・吉岡組が「銀」五輪内定 世界セーリング470級
8月9日、セーリングの470級世界選手権が神奈川県江の島ヨットハーバー沖で最終日が行われ、女子の吉田愛、吉岡美帆組(ベネッセ)が銀メダルを獲得した。日本セーリング連盟は今大会で日本勢最上位となって3位内に入った場合は東京五輪代表に内定すると決めており、吉田・吉岡組はセーリング競技で第1号の代表に決まった。スキッパーの吉田愛は北京から4度目、クルーの吉岡美帆は前回のリオ大会に続いて2度目。
【2位】
ラグジュアリーヨット「LY650」を世界初披露!
9月19日、LEXUSはブランド初のラグジュアリーヨット「LY650」をついに世界初披露し、10月30日より販売を開始。「LY650」は2017年1月に発表された「LEXUS Sport Yacht Concept」の構想を基に、独自のデザインと優れた航走性能、快適な居住空間や丸みを帯びた船首や豊かなボリュームを強調した船尾に優美な曲線をもつ、今までにない特徴的なデザインを実現。 またインテリアは、イタリアのヨットデザイン会社Nuvolari Lenardとのコラボレーションにより、先進的なデザインに加え細部まで作りこんだ快適な居住空間にした。パフォーマンスにおいては、LEXUSの追求する「すっきりと奥深い」航走性能を目指し、安定した操縦性や優れた乗り心地を実現している。加えて、先進のボートコネクティッド技術「LY-Link」を搭載し、さまざまな情報をタイムリーに共有・提供する。
【3位】
世界初!全盲セーラー岩本光弘さんが太平洋横断
6年前は失敗も諦めず夢を実現
4月20日、小型ヨットで米国西海岸から太平洋横断に挑戦した全盲のセーラー岩本光弘さん(52)がゴールの福島県いわき市の小名浜港に到着した。2月24日に米サンディエゴを出港し、健常者の米国人男性とペアで全長約12メートルの「ドリームウィーバー号」を操作して無寄港で約1万4000キロを航行した。日本視覚障害者セーリング協会によると、晴眼者(目の見える人)が風向などを伝えながら、全盲の人がヨットのかじと帆を操る「ブラインドセーリング」での無寄港太平洋横断は世界初。岩本さんは20日午前9時頃「ただいま。ありがとう」と手を振りながら入港。「諦めないで夢を実現できた私は、世界一幸せ者だ」と笑顔で語った。2013年6月、今回と同様のやり方でキャスターの辛坊治郎さんと日本から米国に向け挑戦したが、宮城県金華山沖約1300キロでクジラとみられる物体と衝突し遭難。大波の中、海上自衛隊の救難飛行艇US-2に救助されている。
【4位】
環境少女、ヨットでNY着 温暖化防止へ「今、やろう」
8月28日学校の授業をボイコットしながら地球温暖化対策を訴えてきたスウェーデンの少女グレタ・トゥンベリさん(16)が、ヨットによる大西洋横断を終え、米ニューヨークに到着した。ヨットハーバーで記者会見し「これ以上待つのをやめよう。今、やろう」と温暖化防止へ行動を呼び掛けた。温室効果ガスの排出を抑制するため飛行機を使わず、8月14日にヨットで英南部を出発した。9月の国連の気候行動サミットに参加し、同世代の米国の若者たちと一緒に抗議行動をした。
【5位】
水産庁が漁港利用の規制を緩和
水産庁では、漁港機能の集約化などを目的に、漁港施設の利用規制を緩和。1)水域や漁港施設の占用許可機関を原則10年以内に延長、2)漁港施設の貸し付け対象を拡大し、その期間も最長30年に延長、3)補助金で造られ10年を経過した施設を、地域活性化を条件に目的外使用する際、補助金変換の緩和措置が受けられる、というのが柱。貸し付け対象にプレジャーボート保管施設とその用地も追加され、漁港におけるプレジャーボート受け入れの促進が期待される。
【6位】
五十嵐カノア、サーフィン世界最高峰大会で初優勝
5月25日、サーフィンでプロ世界最高峰のチャンピオンシップツアー(CT)第3戦、コロナ・バリ・プロテクテッドがインドネシアのバリ島で行われ、男子は五十嵐カノアが日本人としてCT初優勝の快挙を遂げた。決勝で15.10点をマークし、14.63点だったジェレミー・フローレス(フランス)を退けた。
【7位】
ヤンマー、⾃動航⾏する「ロボティックボート」と、
着桟を⾃動化する「⾃動着桟システム」を開発
1月17日、ヤンマーは、自動航行する「ロボティックボート」と、桟橋への着眼のために操船を自動化する「自動着浅システム」を開発したと発表した。危険海域などでの海域調査やインフラ点検などでの活用を見込んでいる。自動着桟システムは、2020年をめどに産業用だけでなく漁船やプレジャーボートなどの自社商品への搭載を目指し、将来的には無人ロボット船におけるコア技術となるよう開発を進める。
なお同社では、"誰でも、自由に、ワクワクできる"をコンセプトとした新しいマリンアクティビティ「Wheeebo」を4月に発表。円形のボード上で進みたい方向に体重をかけるとセンサーが傾きを検知し、モーターとプロペラの駆動で水面の移動を楽しむことができる新しい乗り物が話題を読んでいる。
【8位】
セーリング、岡田・外薗が五輪内定 目標は金メダル
9月1日、セーリングのワールドカップ江の島大会最終日が神奈川・江の島ヨットハーバー沖で行われ、男子470級の土居一斗・木村直矢組(アビーム)が総合3位で銅メダルを獲得。同級の2020年東京五輪代表選考の対象最終大会で、総合11位の岡田奎樹・外薗(ほかぞの)潤平組(トヨタ自動車東日本、JR九州)が代表に内定した。
【9位】
ラグビー・五郎丸がマリンアンバサダーに抜てき
ラグビー元日本代表のFB五郎丸歩(32=ヤマハ発動機ジュビロ)が、マリンアンバサダーに就任。日本マリン事業協会が2月13日、都内で行った会見で発表した。五郎丸は、海が好きで、釣りも大好き、子供も好き。「マリンレジャーの情報発信力の強化と次世代を含めた新たなファンの拡大には適任。初めての試みとして起用した」と同協会では説明した。初仕事として、3月7日に横浜市のパシフィコ横浜で開幕する「ジャパン・インターナショナル・ボートショー2019」の任命式に出席。その後、いろいろなイベントに出演し、マリンレジャーや海の魅力を伝えていく。
【10位】
日本が商業捕鯨を再開 IWCから脱退、規制受けず
7月1日、日本政府は国際的な批判をはねつけ、1986年以来となる商業捕鯨を再開した。北海道・釧路港でこの日朝、捕鯨船5隻が出港した。日本は、クジラ漁の国際的な取り決めをつくる国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退を昨年決め、この日をもって正式に脱退した。そのため、IWCの規制を守る必要がなくなった。IWC加盟国は、捕鯨を実質的に禁止することで合意している。これに対し日本は、持続可能な方法でクジラを捕ることはできると長年、主張してきた。
【講評】
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オリンピックセーリング競技に注目したい
今村信 ● マリンジャーナリスト会議・座長
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いよいよ来年に迫った東京オリンピックのセーリング競技470級の男女代表決定が、十大ニュースの中に二つ入った。両代表が決まった選考レースは、一般メディアの取材も観衆も多数来場して非常に盛り上がりを見せ、普段取り上げられる機会が少ないセーリングに多くの注目が集まった。セーリング競技の他種目の代表選考はまだ続いているが、いずれの種目も、代表選手の本番での活躍を応援したい。
レクサス、ヤンマーの話題性がある製品や技術が二つ選ばれたことも、今年の特徴といえるだろう。海やフネに興味を持つきっかけともなりうる、先進性、革新性のあるクールなマリン製品が、日本のメーカーから発信されたことを大いに評価したい。
4位のグレタ・トゥンベリさん(と周囲の大人たち)は、その発言や行動への賛否は別にして、2019年の一般ニュースとしてもトップレベルの注目を集めた。このページからリンクされている十大ニュースの100を超える候補には、海洋プラスチックごみ関連のニュースが5件ノミネートされており、世界的に海の環境に対する関心が高まり、具体的な活動が行われていることが伝わってくる。
5位に入った水産庁の漁港利用に関する規制緩和は、MJCが選ぶ十大ニュースならでは。きわめて地味なニュースであり、この規制緩和による具体的な動きもまだないが、遊休化あるいはそれに近い状態の漁港が増えつつある中、その有効活用が進むことへの期待は着実に高まっている。
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若者にシーマンシップの義務化?
菅仁良 ● マリンジャーナリスト会議・副座長
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日本では、メジャーな競技であっても、その競技の世界選手権(W杯)より五輪のほうが格上だったりする。競技ヨットはどうだろう。少なくとも世間の認知を得るには五輪が格好の場であるには違いあるまい。1位と8位はまだ五輪出場が内定したという、いわば"予備予選通過"の段階にすぎないのに、まあそんなわけで10大ニュースにもぐり込んだ。来年のこの企画では「メダル獲得!」でランクインしてほしいものだ。
マリンレジャーという観点から眺めると、5位の推移を見守りたい。ボート・ヨット遊びは泊地も使い勝手や料金の手頃さもさることながら、目的地としても魅力も備えてほしいと思うからだ。どこまで規制から自由になれて、どこまで在野の知恵やデザイアを具体化できるのかが鍵だろう。
3位は6年前の失敗の雪辱。前回はどうやらマッコウクジラと衝突したのが敗因だったようだが、IWC(国際捕鯨委員会)はもちろんマッコウクジラも捕鯨禁止対象。10位は、そのIWCから脱退したというニュースだ。反捕鯨国・団体からの反発は予想されるが、わが道を行くからには日本的”ガラパゴス”思想も捨てたもんじゃない、いや、世界を平和と繁栄に導くという実践を見せてほしい。
4位のニュースとマリンの関係は、国連演説に乗り込むのにヨットに乗り込んだというだけの話だが、閑話。グレタちゃん、ブラジル大統領に「ガキ」と呼ばれても大人の対応を見せたが、そもそも、16歳だからここまで話題になった。これが熟年のおっさん・おばちゃんじゃここには載らない(笑)。
なお、転載等は自由ですが、マリンジャーナリスト会議が選出した旨、記載をお願いいたします。
●選考の対象となったニュースのリストはこちらからご覧になれます(PDF)。
【1位】
吉田・吉岡組が「銀」五輪内定 世界セーリング470級
8月9日、セーリングの470級世界選手権が神奈川県江の島ヨットハーバー沖で最終日が行われ、女子の吉田愛、吉岡美帆組(ベネッセ)が銀メダルを獲得した。日本セーリング連盟は今大会で日本勢最上位となって3位内に入った場合は東京五輪代表に内定すると決めており、吉田・吉岡組はセーリング競技で第1号の代表に決まった。スキッパーの吉田愛は北京から4度目、クルーの吉岡美帆は前回のリオ大会に続いて2度目。
【2位】
ラグジュアリーヨット「LY650」を世界初披露!
9月19日、LEXUSはブランド初のラグジュアリーヨット「LY650」をついに世界初披露し、10月30日より販売を開始。「LY650」は2017年1月に発表された「LEXUS Sport Yacht Concept」の構想を基に、独自のデザインと優れた航走性能、快適な居住空間や丸みを帯びた船首や豊かなボリュームを強調した船尾に優美な曲線をもつ、今までにない特徴的なデザインを実現。 またインテリアは、イタリアのヨットデザイン会社Nuvolari Lenardとのコラボレーションにより、先進的なデザインに加え細部まで作りこんだ快適な居住空間にした。パフォーマンスにおいては、LEXUSの追求する「すっきりと奥深い」航走性能を目指し、安定した操縦性や優れた乗り心地を実現している。加えて、先進のボートコネクティッド技術「LY-Link」を搭載し、さまざまな情報をタイムリーに共有・提供する。
【3位】
世界初!全盲セーラー岩本光弘さんが太平洋横断
6年前は失敗も諦めず夢を実現
4月20日、小型ヨットで米国西海岸から太平洋横断に挑戦した全盲のセーラー岩本光弘さん(52)がゴールの福島県いわき市の小名浜港に到着した。2月24日に米サンディエゴを出港し、健常者の米国人男性とペアで全長約12メートルの「ドリームウィーバー号」を操作して無寄港で約1万4000キロを航行した。日本視覚障害者セーリング協会によると、晴眼者(目の見える人)が風向などを伝えながら、全盲の人がヨットのかじと帆を操る「ブラインドセーリング」での無寄港太平洋横断は世界初。岩本さんは20日午前9時頃「ただいま。ありがとう」と手を振りながら入港。「諦めないで夢を実現できた私は、世界一幸せ者だ」と笑顔で語った。2013年6月、今回と同様のやり方でキャスターの辛坊治郎さんと日本から米国に向け挑戦したが、宮城県金華山沖約1300キロでクジラとみられる物体と衝突し遭難。大波の中、海上自衛隊の救難飛行艇US-2に救助されている。
【4位】
環境少女、ヨットでNY着 温暖化防止へ「今、やろう」
8月28日学校の授業をボイコットしながら地球温暖化対策を訴えてきたスウェーデンの少女グレタ・トゥンベリさん(16)が、ヨットによる大西洋横断を終え、米ニューヨークに到着した。ヨットハーバーで記者会見し「これ以上待つのをやめよう。今、やろう」と温暖化防止へ行動を呼び掛けた。温室効果ガスの排出を抑制するため飛行機を使わず、8月14日にヨットで英南部を出発した。9月の国連の気候行動サミットに参加し、同世代の米国の若者たちと一緒に抗議行動をした。
【5位】
水産庁が漁港利用の規制を緩和
水産庁では、漁港機能の集約化などを目的に、漁港施設の利用規制を緩和。1)水域や漁港施設の占用許可機関を原則10年以内に延長、2)漁港施設の貸し付け対象を拡大し、その期間も最長30年に延長、3)補助金で造られ10年を経過した施設を、地域活性化を条件に目的外使用する際、補助金変換の緩和措置が受けられる、というのが柱。貸し付け対象にプレジャーボート保管施設とその用地も追加され、漁港におけるプレジャーボート受け入れの促進が期待される。
【6位】
五十嵐カノア、サーフィン世界最高峰大会で初優勝
5月25日、サーフィンでプロ世界最高峰のチャンピオンシップツアー(CT)第3戦、コロナ・バリ・プロテクテッドがインドネシアのバリ島で行われ、男子は五十嵐カノアが日本人としてCT初優勝の快挙を遂げた。決勝で15.10点をマークし、14.63点だったジェレミー・フローレス(フランス)を退けた。
【7位】
ヤンマー、⾃動航⾏する「ロボティックボート」と、
着桟を⾃動化する「⾃動着桟システム」を開発
1月17日、ヤンマーは、自動航行する「ロボティックボート」と、桟橋への着眼のために操船を自動化する「自動着浅システム」を開発したと発表した。危険海域などでの海域調査やインフラ点検などでの活用を見込んでいる。自動着桟システムは、2020年をめどに産業用だけでなく漁船やプレジャーボートなどの自社商品への搭載を目指し、将来的には無人ロボット船におけるコア技術となるよう開発を進める。
なお同社では、"誰でも、自由に、ワクワクできる"をコンセプトとした新しいマリンアクティビティ「Wheeebo」を4月に発表。円形のボード上で進みたい方向に体重をかけるとセンサーが傾きを検知し、モーターとプロペラの駆動で水面の移動を楽しむことができる新しい乗り物が話題を読んでいる。
【8位】
セーリング、岡田・外薗が五輪内定 目標は金メダル
9月1日、セーリングのワールドカップ江の島大会最終日が神奈川・江の島ヨットハーバー沖で行われ、男子470級の土居一斗・木村直矢組(アビーム)が総合3位で銅メダルを獲得。同級の2020年東京五輪代表選考の対象最終大会で、総合11位の岡田奎樹・外薗(ほかぞの)潤平組(トヨタ自動車東日本、JR九州)が代表に内定した。
【9位】
ラグビー・五郎丸がマリンアンバサダーに抜てき
ラグビー元日本代表のFB五郎丸歩(32=ヤマハ発動機ジュビロ)が、マリンアンバサダーに就任。日本マリン事業協会が2月13日、都内で行った会見で発表した。五郎丸は、海が好きで、釣りも大好き、子供も好き。「マリンレジャーの情報発信力の強化と次世代を含めた新たなファンの拡大には適任。初めての試みとして起用した」と同協会では説明した。初仕事として、3月7日に横浜市のパシフィコ横浜で開幕する「ジャパン・インターナショナル・ボートショー2019」の任命式に出席。その後、いろいろなイベントに出演し、マリンレジャーや海の魅力を伝えていく。
【10位】
日本が商業捕鯨を再開 IWCから脱退、規制受けず
7月1日、日本政府は国際的な批判をはねつけ、1986年以来となる商業捕鯨を再開した。北海道・釧路港でこの日朝、捕鯨船5隻が出港した。日本は、クジラ漁の国際的な取り決めをつくる国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退を昨年決め、この日をもって正式に脱退した。そのため、IWCの規制を守る必要がなくなった。IWC加盟国は、捕鯨を実質的に禁止することで合意している。これに対し日本は、持続可能な方法でクジラを捕ることはできると長年、主張してきた。
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オリンピックセーリング競技に注目したい
今村信 ● マリンジャーナリスト会議・座長
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いよいよ来年に迫った東京オリンピックのセーリング競技470級の男女代表決定が、十大ニュースの中に二つ入った。両代表が決まった選考レースは、一般メディアの取材も観衆も多数来場して非常に盛り上がりを見せ、普段取り上げられる機会が少ないセーリングに多くの注目が集まった。セーリング競技の他種目の代表選考はまだ続いているが、いずれの種目も、代表選手の本番での活躍を応援したい。
レクサス、ヤンマーの話題性がある製品や技術が二つ選ばれたことも、今年の特徴といえるだろう。海やフネに興味を持つきっかけともなりうる、先進性、革新性のあるクールなマリン製品が、日本のメーカーから発信されたことを大いに評価したい。
4位のグレタ・トゥンベリさん(と周囲の大人たち)は、その発言や行動への賛否は別にして、2019年の一般ニュースとしてもトップレベルの注目を集めた。このページからリンクされている十大ニュースの100を超える候補には、海洋プラスチックごみ関連のニュースが5件ノミネートされており、世界的に海の環境に対する関心が高まり、具体的な活動が行われていることが伝わってくる。
5位に入った水産庁の漁港利用に関する規制緩和は、MJCが選ぶ十大ニュースならでは。きわめて地味なニュースであり、この規制緩和による具体的な動きもまだないが、遊休化あるいはそれに近い状態の漁港が増えつつある中、その有効活用が進むことへの期待は着実に高まっている。
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菅仁良 ● マリンジャーナリスト会議・副座長
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マリンレジャーという観点から眺めると、5位の推移を見守りたい。ボート・ヨット遊びは泊地も使い勝手や料金の手頃さもさることながら、目的地としても魅力も備えてほしいと思うからだ。どこまで規制から自由になれて、どこまで在野の知恵やデザイアを具体化できるのかが鍵だろう。
3位は6年前の失敗の雪辱。前回はどうやらマッコウクジラと衝突したのが敗因だったようだが、IWC(国際捕鯨委員会)はもちろんマッコウクジラも捕鯨禁止対象。10位は、そのIWCから脱退したというニュースだ。反捕鯨国・団体からの反発は予想されるが、わが道を行くからには日本的”ガラパゴス”思想も捨てたもんじゃない、いや、世界を平和と繁栄に導くという実践を見せてほしい。
4位のニュースとマリンの関係は、国連演説に乗り込むのにヨットに乗り込んだというだけの話だが、閑話。グレタちゃん、ブラジル大統領に「ガキ」と呼ばれても大人の対応を見せたが、そもそも、16歳だからここまで話題になった。これが熟年のおっさん・おばちゃんじゃここには載らない(笑)。