■授賞内容、選考理由について
●MJCマリン賞2014 大賞
2013 IFDSブラインドセーリング世界選手権実行委員会
世界6か国19チームが参加して開催された「2013 IFDSブラインドセーリング世界選手権」は、2013年5月24日(金)から6月1日(土)まで全15レースが実施され、無事終了した。閉会式では高円宮妃久子殿下が「セーリングというのは目の見える方のするスポーツとばかり思っていた考えが、本日変わりました。ブラインドセーリングは、ハンデキャップのある方々のスポーツへの参加にとても勇気を与えると信じています。また日本にセーリングに来てください、私たちはいつでもみなさまを歓迎します」と英語でご挨拶された。世界選手権の日本開催はブラインドセーラーと関係者たちの悲願でもあった。レース艇の確保、運営スタッフの確保、さまざまな苦労の中で実現した世界選手権だった。
●スポーツ/アドベンチャー部門
岩本光弘さん/辛坊治郎さん
ニュースキャスターの辛坊さんと全盲のセーラー岩本さんは、2013年6月、サンディエゴを目指し福島県小名浜港をスタート。クジラとの衝突により遭難したものの、不測の事故に対して、的確な判断で救助要請を行い、帰還した。航海そのものは断念せざるを得なかったが、ハンディを抱えながら太平洋横断に挑戦したお2人のチャレンジスピリットをたたえるものである。また、事故後もメディアにおいて事故時の様子、今回の経験について語られたことにより、第三者から冒険航海やチャレンジについて冷静かつ正当な評価や、再チャレンジを望む言葉も引き出され、今後、同じく冒険や長距離航海に挑む人々のチャレンジスピリットを育む結果となった。
●文化/普及部門
公益財団法人みちのく北方漁船博物館財団
2013年、夏。自力航行可能な復元千石船「みちのく丸」が、東日本太平洋岸のゆかりの港を訪問した。各港の周辺で江戸時代の航法を再現して帆を上げ、さらに船内見学、展示などを通して、先人の航海技術や海運がもたらした文化の素晴らしさを知らせるとともに、東日本大震災復興を支援。海洋文化や海にまつわる産業の発展を図った。
北前型弁才船は日本海海運の主力となった商船で江戸時代後期から明治40年代にかけて最も活躍した。大坂(大阪)を起点として、日本海沿岸の湊に寄港しながら蝦夷地(北海道)まで年一往復で結び、各地で物資を売り買いして利益をあげたが、経済のみならず文化交流に重要な役割を果たした。失われつつある日本古来の和船の建造技術や構造の発達過程を紹介し、さらに「北前船」の歴史や文化を後世に伝えるきっかけとなることを願って、財団法人みちのく北方漁船博物館財団が建造した。
●安全/環境部門
森重裕二さん
森重裕二さんは滋賀県の公立小学校教諭。ロデオカヤックという競技に没頭、その後、小学校教諭になり、子ども達を水辺に連れて行く機会があったが、その際にあまりにも安全に対する考え方が一般に浸透していないことを知った。そこで、人々の水辺の安全に対する意識を高め、水辺での悲しい事故が1つでもなくなるよう、少しでも情報が広がることを願い、2009 年から個人でホームページによる「子どもたちにライジャケを!」という草の根活動を開始。
ホームページの内容に賛同していただける方を募集することによって、ライフジャケットの必要性について、議論してもらう機会を増やしたかったという。
以降、①ホームページやフェイスブック、ツイッターによる啓発と賛同者の募集、②カンパによるライフジャケット購入と配布、の2つの活動を中心に、様々な場所で活動を行っている。これまでに配布したライフジャケットは600着以上、ホームページとツイッターではそれぞれ1200名、またフェイスブックでは1700名を超える賛同者が集まっている。
2011年からはアメリカで30年にわたって同様の活動を続けている「Wear It!!」と連携し、「Wear It Japan!!」としての活動をスタートした。
■MJCマリン賞について
●主催/ マリンジャーナリスト会議(MJC)
●後援/国土交通省、海上保安庁、(一社)日本マリン事業協会
マリンジャーナリスト会議(MJC)では、マリンレジャーの安全と健全な普及を目指し、この分野で貢献している個人および団体の活動をたたえるとともに、今後の活動を応援することを目的に、2001年より「MJCマリン賞」を創設し、以来、毎年表彰しています。対象は競技スポーツにとどまらず、海に関するユニークな活動、学術的研究、安全普及、環境保護、ボランティアなど、広範な「海洋文化の普及」活動に携わってきた人々すべてです。
賞の決定については、一定期間(今回は2013年3月1日より2013年12月31日までの期間に当会ホームページ及び、当会加盟のマリン専門誌において募集。応募(推薦)のあった個人、団体に加え、当会会員の推薦により候補者を選定し、一次審査を経て最終ノミネートを決定します。その後の二次審査では、会員の投票によって最終的に「大賞」と三部門の部門賞を決定しています。