●MJCマリン賞2023大賞 (1名)
堀江謙一さん
〈史上最高齢で単独無寄港太平洋横断達成〉
堀江謙一さんは、83歳となった2022年、ヨットで単独無寄港の太平洋横断を敢行。3 月26 日にアメリカ・サンフランシスコを出航。6 月4 日未明、約8500 キロ、69 日間の航海を経て、紀伊水道に設定したゴールに到着し、世界最高齢での記録を達成した。堀江さんはこれまでにも単独無寄港世界一周、 足こぎボートによるハワイ・沖縄間航海などに挑戦してきた海洋冒険家。今回の最高齢での記録達成をしても「生涯チャレンジャーでいたい」と、既に次の航海を見据え、「今が青春の真っただ中。大器晩成を目指して頑張ります」と語っている。
●MJCマリン賞 (2組、1名)
大島商船高等専門学校 PWC レスキュー隊
〈水上オートバイを活用した水辺の安全教育&学生による活動〉
山口県の大島商船高等専門学校のPWCレスキュー隊は、2011年に結成。2014年に同校の正式な「部活」として認められた全国で唯一の学生によるレスキュー隊。レスキュースキルの向上はもちろんのこと、PWC 操船時の遵守事項や利用水域の航行ルール、安全知識を習得し、ながら地域イベントでのパトロールやレスキュー支援、デモなどを行っている。発起人は同校の幸田三広教授。2005年にプロジェクトチームを発足させ、練習船「大島丸」を活用した防災教育プロジェクトをスタート。自身でPWC レスキューライセンスを取得後、ハワイに滞在し、PWCレスキュー及びハワイアンライフガードの活動を研究した。2010 年、商船学科学生9 名が集まり、3 名の教員とともに活動を開始、継続してきた。
市橋愛生さん/後藤凛子さん
〈ハイパフォーマンスディンギー「29er」世界選手権で女子2 位の快挙〉
2022年8 月にスペイン・バルセロナで開催された29er 級世界選手権で、日本から唯一出場した市橋愛生(早稲田佐賀高校3年)/後藤凛子(横浜市立南高校3年)のペアが日本チームとして初のメダル獲得となる女子2位という成績を残した。男子、女子、ミックスを合わせた総合順位では14位という成績。2 人は7 月中旬、オランダでのユース世界選手権にも出場。同種目で23艇中3位の成績を収め、銅メダルを獲得した。帰国せずそのままスペインへ移動して、今回のクラス別ワールドに出場。女子1 位(総合6 位)のチームは20 歳と22 歳のペアだったことから、2005 年生まれの市橋/後藤ペアは、ユース世代の世界トップとなる。
堀部結里花さん
〈2022 年の世界大会プローンディスタンス女子の部で優勝〉
堀部結里花(旧姓・三井)さんは、2022 年10 月にプエルトリコで開催された「ISA World SUP & Paddleboard Championship2022」の「Prone Distance Race Women」(ボードにうつ伏せでパドリングする長距離レース)の部で、日本人として初めて優勝を果たした。日本大学でライフセービングに出会い、人々が安全に海を楽しめるようにと、卒業後もライフセーバーとして活動。高校で保健体育を教えながら、「ライフセーバーが必要とされない海」の実現、一人一人が自分の身を自分で守ることができる環境づくりを目指し、競技にも2019 年には、全日本ライフセービング選手権で9 連覇という輝かしい結果を残した。2020 年はコロナで大会が中止になり、その後妊娠・出産を経験。ブランクの時期を経た中で、産後まもなく競技の練習を再開後の成績だった。
●MJC特別賞
石原慎太郎さん
〈作家として海とヨットを愛し、日本での本格的なオフショアレース開催に尽力〉
2022 年2 月1日、89 歳で逝去した石原慎太郎さんに、生前の功績に敬意を表し特別賞を授賞することとなった。東京都知事、運輸相、旧日本維新の会共同代表などを務めた元衆院議員であり、作家であった石原慎太郎さんは、一橋大在学中の1956年、若者の無軌道な生き方を描いた「太陽の季節」で芥川賞を受賞。その後、保守の立場からの評論活動を展開するとともに、国会議員、都知事としても活躍したが、海とヨットの愛好家として、また、作家として日本のセーラーたちに敬愛された。NORC(日本外洋帆走協会/現・日本セーリング連盟)会長等を歴任し、日本での本格的なオフショアレースの開催にも尽力。海を題材とした作品や言動を通して、海やヨットとの関わり方、その生死観に至るまで、多くの愛好家、海洋ファンに影響を与えた。