2016年の10大ニュースでトップとなったのは、福岡で開催された「アメリカズカップ・ワールドシリーズ」開催に関するニュースでした。レース使用艇の変更、建造ルールの変更など、長らくアメリカズカップを取材してきたマリンジャーナリストにとって、近年のアメリカズカップのあり方には疑問視するメンバーが多いことも事実。それでも会場となった福岡市に2万人近くのファンを集め、世界有数のセーラーたちの活躍を目の当たりにすることとなったイベントの成功には、日本におけるセーリングスポーツへの関心の高まりを期待する声が多く聞かれました。
2位は白石康次郎氏による単独無寄港世界一周レース「ヴァンデ・グローブ」参戦のニュースです。たった一人で60フィートのヨットを操り、南半球1周、約2万6千マイル(約4万8152km)を100日間かけて帆走するこのヨットレースは世界で最も過酷といわれていますが、白石氏は長年の夢であった本レースへの参戦を実現、レースそのものは無念のリタイアとなったものの、多くのマリンファンから賞賛の声が上がっています。
行政関連のニュースとして注目されたニュースは、4位の「ライフジャケットの着用義務化」への動きです。アンケートの結果を見てもこの動きへの賛否は分かれるところです。傾向としてはメーカーや団体など顧客を守る立場からは歓迎、一方で、乗員のライフジャケット着用を含めた船長責任をシーマンシップの一部と捉え、法制化はその成長を妨げるものとする声がジャーナリストやユーザーから多く上がっています。もちろんそうした回答者の安全意識が低いわけではなく、スマホによる衝突予防アプリ関連のニュースが第6位となるなど、安全対策のための新たなツールの登場に期待していることも伺えます。
また7位となったふるさと納税によるマリーナ係留料の無料化、ランク外ですが12位のジャパンマリーナアライアンス、13位の瀬戸内国際芸術祭でのクルージングインフォメーションデスクの設置など、クルージングの利便性や保管環境の改善など、ボートやヨットのインフラ整備への関心の高さも、特にユーザーの回答から伺うことができました。
【マリン10大ニュース選考方法】
■MJC内「10大ニュース」ワーキンググループがニュースサイト等より2016年の主な海洋関連ニュース(マリンレジャー、行政、水産等)をピックアップし、リスト化。そのリストを元に、MJC会員と関係者、および720協力艇(MJCの体験試乗イベントの協力艇オーナー)を対象にアンケートを実施しました(有効回答数34件)。
■アンケートでは上位5件のニュースを記入、1位=5点、2位=4点、3位=3点、4位=2点、5位=1点を配点。得点数によって順位を決定、同点の場合は記入数の多かったニュースを上位としました。
●アンケートのベースとした
2016年の主なマリン関連ニュースのリストはこちら
■1位
アメリカズカップ・ワールドシリーズ福岡大会開催
2017年アメリカズカップの挑戦艇、防衛艇全6艇が競うルイヴィトン・アメリカズカップ・ワールドシリーズ(全9戦)の最終となる福岡大会が11月18〜20日にかけて福岡・地行浜(じぎょうはま)で開催された。優勝したのは英国の Land Rover BAR チーム。この結果、全9戦トータルの総合優勝も同チームとなり、2017年5月に始まるLouis Vuitton America’s Cup Qualifiersへ向けて2ポイントのアドバンテージを得た。日本から参加したソフトバンク・チームジャパンは福岡大会5位、総合成績も5位となった。本レースは、アメリカズカップにかかわる初の日本開催レース、元ニッポンチャレンジの早福和彦選手がチーム総監督&クルーとして参加し、注目を浴びた。レース艇や乗員数、レース形式も変わり、以前のモノハルで競ったアメリカズカップ関連レースとは様相を一変しているが、セーリング界からは「興行的な要素の多いスポーツだが、それを支えるのはアメリカズカップや五輪に参加するアスリートたちで、存分にセーリングの面白さを魅せてくれた」などと評価される一方、「浜から見ていても何がなんだかわからなかった」「セーリングが見るスポーツになるのは難しいのでは」という反応が、初めてヨットレースを間近で見た層から聞こえてもいた。
【回答者の主なコメント】
興業とはいえ日本で開催されたことは夢のよう。TV中継もあり、楽しく見られた。マリンファン以外の方にも訴求効果があったように思う。/有料でレースを観戦した人が13817人。周辺からの観戦者を含めると19000人。テレビをはじめ大手メディアでも取り上げられ、日本でのア杯関連イベントの初開催はセーリング史に残るイベントとなった。/このイベントが多くの人の記憶に残ったことの意義は大きい。一方でフォイリングという現在のレースの姿に違和感を覚えるのは単なる懐古主義だろうか。/アメリカズカップの規則の混乱やカタマラン、フォイリングボートへの違和感、そうしたものを吹き飛ばす楽しさがあった。/早福さんの執念には脱帽。
■2位
白石康次郎、世界一過酷なヨットレース
「ヴァンデ・グローブ」をスタートするも、無念のリタイア
ヴァンデ・グローブは4年に1度開催される、単独無寄港無補給での世界1周ヨットレース。今大会は8回目で、白石康次郎はアジア人として初参戦を果たした。レースはフランスのレ・サーブル・ドロンヌをスタートし大西洋を南下、南アフリカのケープタウンを回って、南極大陸とオーストラリア大陸の間にある南氷洋を東に進む。帆船乗りの難所とされる南アメリカ大陸最南端の喜望峰を回り、大西洋を北上、赤道無風帯を通ってスタート地のレ・サーブル・ドロンヌに戻る約80日間のレース。ヨットは全長約18メートルでマストの高さは約30メートル。通常は10人ほどで操船する船を一人で操る。11月6日のスタート後、順調にレースを続けていた白石だが、12月4日にマストが折れ、レースをリタイアした。白石に怪我はなく、無事。
【回答者の主なコメント】
長年の夢を実現させた白石さん、夢を実現させようとしたスポンサー、関係者の並々ならぬ努力と苦闘に敬意を表します。途中棄権となりましたが大きな功績。/最も過酷とされる単独世界一周レースに果敢に挑戦したその勇気は賞賛に値する。今回は無念のリタイアとなったが次回に向けぜひ挑戦し完走して欲しい。/このチャレンジにスポンサーがついたこと、ファンドが組めたこと、テレビ朝日で定期的に放送されたこと。画期的だった。/リタイアしてもヴァンデ・グローブを知るものなら「快挙」と思うことだろう。スタート地に200万人もの見学者が集まるフランスに日の丸が揚がったことだけをとっても誇らしい。
■3位
リオ五輪、カヌー・スラローム男子カナディアンシングルで、
羽根田卓也が銅。カヌー競技でアジア人初のメダル
リオデジャネイロ・オリンピック4日目の8月9日(現地時間)、カヌー・スラローム男子カナディアンシングル決勝で、羽根田卓也(ミキハウス)が銅メダルを獲得した。カヌー競技でメダルに輝いたのは、日本勢男女はもとより、アジア人としても初めて。予選を5位、準決勝を6位で通過した羽根田は、決勝で24カ所のゲートに一度も接触せずに97.44点を挙げて3位以内を守りきった。高校卒業後、単身スロバキアに渡って競技を続けた羽根田は、初出場の2008年北京五輪で14位、2012年のロンドン五輪で7位に入賞。三回目のオリンピックで悲願のメダルに輝いた。
【回答者の主なコメント】
マイナー競技でメダルを獲得してくれたことでカヌーがオリンピック競技として広く認知されたと思う。カヌーを海遊びのツールとして活用しているものとして東京に向けても期待したい。/板や舟、船を使うスポーツが脚光を浴びることは誠に重畳。/「日本人は体格的に勝てない」といわれていたカヌー競技で、技術を磨いた日本人選手がメダル獲得。カヌー人口は増えても競技への関心が低かった日本にとって嬉しいニュース。
■4位
ライフジャケット着用義務化へ、国交省・水産庁合同会議で合意
国土交通省と水産庁は3月15日、「小型船舶安全対策検討委員会」と「ライフジャケットの着用推進等に関する会議」の第1回合同会議を開催し、漁船やプレジャーボートなどの小型船舶からの海中転落による海難事故対策として、小型船舶の暴露甲板上でのライフジャケット着用の完全義務化を進めることで合意した。5月中旬〜6月中旬にかけパブリックコメントを募集し、当初は7月下旬に省令を改正・公布し、1年の猶予期間を設けたのち来年夏の施行を目指していたが、調整が難航し、省令の改正・公布は2016年12月下旬となる見込み。なお、ライフジャケットの着用については、平成15年6月から水上オートバイの乗船者と、12歳未満の小児で、平成20年4月から1人乗り小型漁船(総トン数20トン未満)で漁労に従事する者に義務付けられており、それ以外の場合は努力義務となっていた。
【回答者の主なコメント】
いかにも「日本的」判断で嫌悪感。シートベルト着用とは異なり、海の上で自主判断ができる人作りを行う環境の方が必要だと思った。/お役所的発想にならざるを得ない、その程度のシーマンシップしか持ち合わせていない人が増えたということか。/横暴な話。船長責任を前提にすべき。/乗り手のシーマンシップに任せるだけで充分とまではいわないが、発航前の点検、見張りの不履行が処罰対象となるなど安全確保が法によって定められることによって、本質を見失った思考停止にならないか。/海上衝突予防法も知らないミニボートを海に放り出しておいて、一方でこうしたことを法制化する。何を考えているのか意味不明。/水難事故が増えていることを受け、国としてライフジャケットの重要性を理解した瞬間ではないか。とても大事な決断を下した。
■5位
快挙、岡田・木村、金メダル獲得!ドイツ470級ジュニア世界選手
ドイツ、キールにて6月20〜26日に開催された470級ジュニア世界選手権で、岡田奎樹/木村直矢が金メダル、髙山大智/高柳彬が銅メダルを獲得した。2020年東京オリンピックを控え、日本の470級、ヨット界にとって明るいニュースとなった。
【回答者の主なコメント】
OPで活躍していた選手が470の世界で大活躍。2020年の東京オリンピックにも期待したい。/日本初の快挙。オリンピックでも期待。/ヤマハセーリングチームの10年ぶりの結成のニュースと合わせて、2020年がますます楽しみになった。
■6位
小型船衝突防ぐアプリ。国交省が普及へ向け実証実験を実施
国土交通省は、プレジャーボートなど小型船の衝突事故防止のため、位置情報機能を使って船同士の接近を警報で知らせるスマートフォン(スマホ)のアプリ普及を推進することを決めた。秋以降の実証実験を踏まえて、アプリを提供する民間企業向けの指針を作り、2018年度から運用を始める方針。国交省によると、2015年には2,137隻の船舶事故があり、その75%を小型船が占めている。大型船には、他船との衝突を回避するために、自船の位置情報を発信する「船舶自動識別装置(AIS)」の設置が義務付けられているが、小型船に義務はなく、装置が高額なため普及していない。アプリは、全地球測位システム(GPS)で確認した位置情報を発信し、基地局経由で周辺のスマホ画面に表示する仕組みで、船同士が接近する、あるいは危険海域に接近すると警報やメッセージで危険を知らせるもの。市販のスマホを利用でき、費用負担が少ないのが利点。国交省は、何メートルまで接近したら警告するか、通信エリア外ではどう対応するかなどを実証実験で確認し、各社のアプリが共通で備えるべき機能を来年3月までに指針としてまとめる。
【回答者の主なコメント】
スマートフォンのアプリであればカヤックや2馬力ボートなどにも応用が可能で、是非実用化してもらいたいシステムです。/充分に気をつけていても衝突事故はあり得る。自動車の自動運転とまではいわないがありがたい話。PWCでも使えるようにすべき。/スマホアプリでの運用がはやく普及することを望む。また、瀬戸内海など漁船も多いので漁船にも安価に搭載できる機器の開発を願う。
■7位
ふるさと納税で新居浜マリーナの係留料が無料に
愛媛県新居浜市では、10月1日から、ふるさと納税寄付の返礼品をリニューアルし、その一つとして、新居浜マリーナの係留料を1年間無料とする取り組みをスタートさせた。同マリーナを核としたマリンパーク新居浜は、海水浴が楽しめる人工ビーチやキャンプ場、研修施設やレストランを備える複合施設で、ここを拠点として瀬戸内海でのマリンレジャーを楽しんでもらおうというもの。100万円以上の寄付で15メートル桟橋(41〜50フィート)、80万円以上で12メートル桟橋(31〜40フィート)、50万円以上で9メートル桟橋(20〜30フィート)の係留料が、それぞれ1年間(寄附を行った翌年度の4月1日から)無料となる。なお、寄附金の使途は、同市が掲げる「6つのまちづくり」目標(快適交流、環境菱和、経済活力アップ、健康福祉、教育文化、自立協働)の各事業、および、「あかがね基金」(市内の別子銅山遺構の保護基金)と「ものづくり産業振興基金」の財源の計8項目の中から、寄附者が希望する活用先を選択できる。
【回答者の主なコメント】
節税で係留料が無料なら助かります。瀬戸内海はいいですね。/名産品などが大多数を占めるふるさと納税の返礼品にマリーナ係留料を設定するという発想自体が面白い。こうした取り組みがきっかけとなり、地方活性化の一助としてプレジャーボートを活用する機運が広まればと思う。/各市でのふるさと納税のレパートリーが広がり、ヨット愛好家としてはありがたいこと。これが全国のマリーナに拡大されればと願う。
■8位
東京オリンピック追加種目にサーフィン
8月3日(現地時間)にブラジル・リオデジャネイロで開催された国際オリンピック委員会(IOC)総会で、2020年東京五輪の大会組織委員会が提案していた追加種目5競技(野球/ソフトボール、空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィン)の採択が正式に決定した。このうち、サーフィン会場については、12月に行われるIOC理事会にて正式に決定する見通しだが、組織委では、国際大会の開催実績もある千葉県・一宮町の九十九里浜南端、釣ケ崎海岸の「志田下(しだした)」に絞り込んでIOCに計画を提出しており、同地が有力な会場候補となっている。※後日、一宮に正式決定
【回答者の主なコメント】
欧米で人気のスポーツだが、日本でも、もっと火がついて欲しい。思えば70年代はみんなが「おかサーファー」だった。/一宮海岸でのオリンピック開催。千葉県民としても楽しみ。/ひとつでも多くのマリンスポーツが五輪種目になってもらいたい中での朗報。多くの日本人がサーフィンや海に親しむきっかけになって欲しい。
■9位
戦艦大和を呉市が調査。デジタル映像を公開
太平洋戦争末期、乗組員約3千人とともに東シナ海に沈んだ戦艦〈大和(やまと)〉の潜水調査に、広島県呉市が行政機関として初めて成功し、6月22日、そのデジタル映像や写真が報道機関に公開された。艦首にある菊の紋章も鮮明に浮かび上がった。当時の最先端技術の集大成でありながら、呉海軍工廠で極秘裏に建造された戦艦〈大和〉は、昭和16年(1941年)12月に就役した世界最大の戦艦。大和の建造技術は、世界一の大型タンカー建造だけにとどまらず、自動車や家電品の生産など幅広い分野で応用され、戦後の日本の復興を支えてきたと言われている。
【回答者の主なコメント】
戦艦大和!もっと大和の映像やその姿を見たい。大和の技術をもっと公開して欲しい。/個人的な理由だが祖父が元海軍で、当時、完成間近の大和に乗船していたことがある。祖父は他界したがこのニュースで祖父のことを思い出した。/世界最大の主砲を備えた不沈船艦大和。その功績は輝かしく、菊の紋章を捉えた映像が記憶に新しい。
■10位
小池百合子知事が築地市場(中央区)の移転を延期すると発表
⼩池百合⼦知事が築地市場(中央区)の豊洲市場(江東区)への移転を当⾯延期すると発表した。その後、専門家の提言に反し、市場棟などの下は汚染対策の盛り土がないことも発覚。地下水から基準値超えの有害物質が検出されるなど、環境問題が再燃している。豊洲に引っ越しを始めていた業者も多く混迷している。
【回答者の主なコメント】
なんといっても日々の報道がすごすぎる。/新たに就任した小池知事の対応を含めメディアの露出度が高かった。/東京都の将来を担う一大事業。盛り土や地下水の問題など頻繁にクローズアップされた。
参考【11〜20位】
11位
セーリングワールドカップ、2017年10月から日本初開催へ
東京五輪に向けて世界最高レベルの選手を日本に招く
セーリングワールドカップが2017年から4年間、日本で初開催されることが9月21日に日本セーリング連盟から発表された。五輪種目でもあるセーリングの日本開催は2020年東京五輪に向けたもの。日本セーリング連盟の河野博文会長は、「2020年に向かって世界最高レベルの選手を日本に招いて、日本選手の競争の機会を増やし、選手の強化を行う。同時にオリンピックに向けて国際的な大レースの運営の経験を積んで、競技役員の育成を加速することを目標とする」と開催に意気込む。
12位
9マリーナが加盟するジャパンマリーナアライアンスが発足
1月21日、兵庫県・新西宮ヨットハーバーにて、同ハーバーのほか8マリーナ(北海道・小樽港マリーナ、神奈川県・横浜ベイサイドマリーナ、愛知県・ラグナマリーナ、大阪府・いずみさの関空マリーナ、広島県・広島観音マリーナ、福岡県・西福岡マリーナ マリノア、長崎県・長崎サンセットマリーナ、沖縄県・宜野湾港マリーナ)の運営会社の代表が集まり、ジャパンマリーナアライアンスの設立総会を開催、同アライアンスが発足した。同アライアンスの設立目的は、加盟9マリーナが互いに連携し、ネットワークを構築することで、各マリーナの利用者により充実したサービスを提供すること。各マリーナ周辺の海の魅力を伝えるとともに、遠隔地でのボーティングを楽しむ際のサポート体制を高めていく。
13位
瀬戸内国際芸術祭に合わせて、
クルージングインフォメーションデスクを設置
日本マリン事業協会四国支部では、6月25日~9月4日、9月24日~11月6日の期間中、「プレジャーボートで行く瀬戸内国際芸術祭の旅 クルージングデスク」を開設した。瀬戸内国際芸術祭は、香川県の島しょ部を中心に開催される現代アートのトリエンナーレ(3年に一度開催される国際美術展覧会)。複数の島が会場となる同芸術祭を巡るには、既存のフェリーなどだけでは効率が悪いこともあり、それを補完するべく、海上タクシーやプレジャーボートの利用を推進する係留場所が用意された。クルージングデスクでは、同芸術祭の夏・秋会期に合わせて設置されたもので、芸術祭会場である島の係留場所や推奨ルートなどを案内した。
14位
東京五輪のボート、カヌー・スプリントの競技会場、
移転を見送り「海の森」に正式決定
11月29日に行われた、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた東京都、政府、組織委員会、IOC(国際オリンピック委員会)の4者協議のトップ級会議で、ボート、カヌー・スプリントの競技会場を、当初の計画通り、海の森水上競技場とすることを正式決定した。一時は小池百合子東京都知事が、東京都から宮城県に競技会場を移す提案をしていたが、大会関係者からは、施設の変更はさらなるコストの増加を招くなどとして批判の声が上がっていた。また、見直しの議論を受けて、11月から中断していた建設工事が12月8日に再開し、堤防をつくるためのくいを海に打ち込むなどの作業が行われた。当初491億円と見込んでいた整備費用を、およそ200億円削減するなどして、2019年3月の完成を目指して整備が進められる。
15位
「ジャパンインターナショナルボートショー2016」
昨年を上回る5万人が来場
3月3~6日までの4日間、横浜・みなとみらい地区のパシフィコ横浜および横浜ベイサイドマリーナで「ジャパンインターナショナルボートショー2016」が開催された。今年は193社・団体が出展し、ボート、ヨット、水上オートバイなど233隻、マリンエンジン55基が展示された。来場者数は4万9515人で、前回(2015年)比115%増。パシフィコ横浜会場では、釣りガールによるプレゼンテーション「これが私のボートフィッシング」などを実施し、ステージでは、経済評論家でボート免許を所有しマリンレジャーを楽しんでいる勝間和代氏らによるトークショーも行われた。一方、横浜ベイサイドマリーナ会場では、全長30フィート以上の中大型艇49隻が係留展示されたほか、女性限定の「春らんまん。マリーナ・ピクニッククルーズ」を実施するなど、ボートの展示と乗船プログラムなどで来場者を楽しませた。
16位
プレジャーボートの発航前検査、
見張りの実施の義務違反が処分対象に
酒酔い等操縦の禁止、危険操縦の禁止などを定めた「小型船舶操縦者法に基づく遵守事項」の一部が改正され、7月1日から、「発航前の検査義務違反」と、「見張りの実施義務違反」が処分の対象となった。これらはともに、小型船舶による海難事故の原因として、機関故障や衝突が多いことからとられた措置。見張りの実施義務違反では3点(他人を死傷させた場合6点)、発航前の検査義務違反では2点(同5点)が課されることとなり、過去1年間の違反累積点数が一定以上に達すると行政処分(1~6カ月の業務停止)が下される。
17位
東京海洋大ら、南極海で微細プラスチック片の浮遊を確認
全地球上が汚染
9月26日、東京海洋大学、九州大学、環境省は、南極海でマイクロプラスチックの浮遊を確認したと発表した。廃プラスチックは、漂着した海岸での紫外線や熱による劣化で次第に微細片化した後、再び海洋を漂流する。5ミリ以下の微細プラスチック片はマイクロプラスチックと呼ばれ、表面に有害物質を吸着する性質がある。誤食によってそれが海洋生物に取り込まれてしまうなど、海洋生態系への悪影響が危惧されている。これまで、マイクロプラスチックは世界各地の沿岸域や日本海などの縁辺海、太平洋や大西洋、北極海で浮遊が確認されている。今回、東京海洋大学の練習船「海鷹丸」での南極海の調査により、南極海に設定した全5測点から計44粒のプラスチック粒子が発見された。このうち38粒は南極大陸に最も近い2測点で見つかり、マイクロプラスチックの浮遊密度(深さ方向の鉛直積分値)は、最も多い測点で28万6000粒/平方キロメートルとなった。同研究グループは、「南極海でのマイクロプラスチックの発見によって、海洋プラスチック汚染が全地球上に広がっている現実を確認することができた」とコメントした。
17位
「東京湾大感謝祭」昨年を上回る9万8千人来場
“学び、体験して、味わう3日間!”と題した「第4回 東京湾大感謝祭」(国土交通省、水産庁、千葉県などが後援)が、10月21~23日に、神奈川県・横浜赤レンガ倉庫を中心に開かれた。初日には、赤レンガ倉庫のホールの一つで、東京湾再生を目的としたシンポジウムが開催され、東京湾の水質、水理、化学、生物など、さまざまな水環境の研究を紹介。2日目以降は、倉庫広場のステージを中心に、各種イベントや各出展ブースの展示で盛り上がっていた。ファミリーに好評だった各地のゆるキャラは、ふるさとの大切さをアピール。前年より1万人増の約9万8千人が来場した。2017年は、10月20日(金)~22日(日)に同会場で開催される予定。
18位
世界で最も美しい湾クラブ―静岡県 駿河湾、京都府の宮津湾・伊根湾の加盟を承認
世界で最も美しい湾クラブ(The MOST BEAUTIFUL BAYS in the world)は、優れた自然景観を保全しながら、湾周辺地域の観光振興や地域経済の発展との共存を図ることを活動理念としたクラブ。1996年設立で、フランス・ヴァンヌ市に本部を置くNGO(非政府組織)。これまで日本では宮城県の松島湾(2013年10月)、富山湾(2014年10月)が加盟していたが、2016年11月、静岡県の駿河湾、京都府の宮津湾・伊根湾の加盟が認められた。これにより、現在加盟している湾は、世界25か国、41湾となった。
18位
北極海に400歳のサメ。脊椎動物では最長寿
北極海などに生息するサメの仲間が400年近く長生きしていることを欧米の研究チームが初めて確認し、米科学誌『サイエンス』(電子版)で論文を発表した。カメやクジラの仲間には200年ほど生きる種がいるが、これほどの長生きは植物以外では極めて珍しく、脊椎(せきつい)動物では最長寿とみられるという。